今月から始まった「インボイス制度」。インボイス制度に登録していない事業者が発注元から一方的に価格の引き下げを求められるケースがあったとして、公正取引委員会は36件の注意を行ったと発表しました。

今月から始まった消費税の「インボイス制度」では、これまで免税となっていた小規模事業者が「課税事業者」になってインボイスを発行しようとすると、税の負担が生じます。登録せず「免税事業者」のままでいることもできますが、一方で、発注元は免税事業者から仕入れる際にかかった消費税額を差し引いて納税することができなくなります。

こうしたなか、公正取引委員会によりますと、経過措置によって仕入れの一部税額控除が認められているにもかかわらず、発注元が取引先に対して「免税事業者のままだと消費税相当額を取引価格から引き下げる」などと、一方的に通告を行ったケースがあるということです。

こうした行為は独占禁止法につながるおそれがあるとして、公正取引委員会は先月末までに36件の注意を行ったと公表しました。7月末時点の18件から倍増していて、▼イラスト制作業者や、▼人材派遣業者、▼フードデリバリー業者などの事業者に注意したということです。

また、インボイス制度に関連した独占禁止法などの相談件数は去年4月から先月までの間でおよそ3000件にのぼっていて、増加傾向にあるとしています。

公正取引委員会は「独占禁止法や下請法に違反する行為には厳正に対処していく」としています。