男子20km競歩は記録では中国優位も、村山の勝負強さも期待
陸上競技最初の種目は男子20km競歩。日本が19年世界陸上ドーハ、21年東京五輪、22年世界陸上オレゴンとメダルを取ってきた種目だが、今年8月の世界陸上ブダペストでは入賞者も出せなかった。
今大会でも中国が優位に立つ。張 俊(25、中国)は4月に1時間17分38秒の自己新、今季アジア最高記録で歩いた。東京五輪8位入賞と国際大会でも実績を持つ。だが張も五輪&世界陸上のメダルは取っていないし、昨年の世界陸上オレゴンは23位、今年の世界陸上ブダペストでも29位と、安定して力を発揮しているわけでもない。他国勢が付け入る隙もありそうだ。
日本は世界大会のメダル経験選手こそ出場しないが、7月のアジア選手権優勝の村山裕太郎(24、富士通)と、35km競歩で世界陸上ブダペスト6位入賞の野田明宏(27、自衛隊体育学校)の2人が金メダルを狙って歩く。
村山の自己記録は今年3月の、全日本競歩能美大会で5位になったときの1時間19分25秒。エントリー選手中2番目だが、張とのタイム差は2分近くある。それでも勝つ可能性は十分ある。今年7月のアジア選手権では、18年アジア大会金メダルの王 凱華(29、中国)に競り勝った。今季の王はそこまで好成績がないが、19年世界陸上と21年東京五輪でも入賞した選手である。
村山は歩型に不安がない選手で、失格を気にしないで勝負どころでも思い切った歩きができる。張を破っても、何の不思議もない。
女子10000mは“世界陸上7位対決”
女子10000mは廣中璃梨佳(22、JP日本郵政グループ)とC.C.キプキルイ(29、カザフスタン)の、“世界陸上7位対決”になる。
廣中は今年8月の世界陸上ブダペストで7位に入賞。昨年の世界陸上オレゴンでは12位、30分39秒71の日本歴代2位をマークした。一方のキプキルイはオレゴンで、廣中を上回る7位に入賞。30分17秒64のカザフスタン新記録をマークした。最高のパフォーマンスを発揮すれば力が上かもしれない。
しかし今季のキプキルイは絶不調。5000mのシーズンベストは16分10秒20に過ぎず、10000mは7月のアジア選手権、8月の世界陸上ブダペストとも途中棄権した。
スタート後に並走して、キプキルイの状態が悪いとわかれば廣中は独走に持ち込むだろう。仮にキプキルイの調子が上がっていても、世界陸上で見せたラストの強さが、今季の廣中には備わり始めた。廣中の金メダルの可能性は高い。2人以外ではB.E.レビトゥ(25、バーレーン)が31分40秒02の自己記録を持つ。スローペースになれば優勝争いに加わるかもしれない。