全日本実業団陸上が9月22~24日、岐阜市の岐阜メモリアルセンター長良川競技場で行われた。大会2日目の男子100mにはリオ五輪4×100mリレー銀メダルメンバー3人が出場。リオで1走だった山縣亮太(31、セイコー)が1組1位(10秒26・+2.4)、2走だった飯塚翔太(32、ミズノ)が2組1位(10秒08・+3.2)、3走だった桐生祥秀(27、日本生命)が3組1位(10秒20・+0.7)と各組1位を占めた。5月のゴールデングランプリ(GGP)で左脚大腿部を肉離れし、世界陸上代表入りを逃した。決勝は棄権したが、桐生は予選でやりたかった走りを確認できたという。9月29日から行われるアジア大会陸上競技に向けて好感触を得ていた。
順調な復調プロセス
桐生の予選の走りは、連戦連勝していた20年頃を彷彿させるものだった。中盤でスピードの違いを見せてトップに立つと、後半は脱力してフィニッシュラインを駆け抜けた。
「よかったんじゃないですかね。自分がやりたい走りができたと思います。中盤の50mから60mのトップスピードを上げるところが、出場した目的でした。10mくらいそれができて1着は取れたと感じたので、残りは(スピードを若干落として)気持ち良く走りました」
5月に故障をした桐生は9月12日の東海大記録会で復帰したが、まだ試運転の状態だった(10秒45・+0.2)。その11日後の全日本実業団陸上で10秒20(+0.7)まで上げてきた。故障をする前も桐生にとって、昨年の長期休養明けのシーズンだった。3月に豪州で10秒48(-1.0)、4月の織田記念で10秒29(+0.5)、5月の木南記念で10秒03(+0.7)と、順調な復調プロセスを歩んだ。インターバルの期間は異なるが、10秒4台から10秒2台に上げた点は、全日本実業団陸上もまったく同じである。
Q.1週間後のアジア大会でどの程度のタイムを出せそうか?
「先週10秒4で今10秒2まで来ているので、1週間でさらに上がるんじゃないかなと思います。スタートの安定感も出ていますし、トップスピードもまだまだ上がる。来週のアジア大会でしっかりやりたいな、と思います」
具体的なタイムは出さなかったが、桐生が手応えを感じているのは間違いなかった。