戦線を離脱していた桐生祥秀(27、日本生命)が、完全復活を懸けて中国・杭州を走る。アジア大会陸上競技(9月29日から10月5日)では、5月のケガで世界陸上代表入りできなかった男子100mの桐生への注目度も高い。17年に日本人初の9秒台(9秒98、現日本歴代3位タイ)をマーク。高校3年時に10秒01で走って以来、周囲からの期待の中で走り続けてきたが、走りを極める100mという種目で、トップコンディションを維持するのは並大抵ではできない。自身が「波瀾万丈」と認める桐生の競技生活とは?
高校3年生で代表入り リオ五輪リレーで銀メダル
桐生は高校3年時の13年に10秒01(+0.9)をマークした選手。東洋大4年時の17年日本インカレ決勝で、9秒98(+1.8)をマークした。短距離界のパイオニアである。
10秒10未満で走ったレース数は、今年5月の木南記念が23レース目。18レースのサニブラウン・アブデル・ハキーム(24、東レ)、14レースの山縣亮太(31、セイコー)を引き離し、日本人選手では最も多い。国際大会にも多数出場してきた。以下が桐生のシーズン毎の10秒10未満のレース数と、国際大会戦績である。
■13年(洛南高3年)10秒10未満1レース
世界陸上モスクワ100 m(予選)
世界陸上モスクワ4×100mリレー1走(6位)
■14年(東洋大1年)10秒10未満1レース
世界ジュニア100m銅メダル
世界ジュニア4×100mリレー2走(銀メダル)
アジア大会仁川100m(欠場)
■15年(東洋大2年)10秒10未満1レース
■16年(東洋大3年)10秒10未満3レース
リオ五輪100m(予選)
リオ五輪4×100mリレー3走(銀メダル)
■17年(東洋大4年)10秒10未満5レース
世界陸上ロンドン4×100mリレー3走(銅メダル)
■18年(日本生命)10秒10未満なし
アジア大会ジャカルタ4×100mリレー3走(金メダル)
■19年(日本生命)10秒10未満7レース
アジア選手権100m(優勝)
世界陸上ドーハ100m(準決勝)
世界陸上ドーハ4×100mリレー3走(銅メダル)
■20年(日本生命)10秒10未満4レース
■21年(日本生命)10秒10未満なし
東京五輪4×100mリレー3走(途中棄権)
■22年(日本生命)10秒10未満なし
■23年(日本生命)10秒10未満1レース
丸10年、日本の第一線で走り続けてきた桐生。だが国際大会代表になっても出場はリレーだけで、個人種目の代表入りができなかったシーズンもあった。その全部ではないが、多くは病気(潰瘍性大腸炎)やケガの影響で、日本選手権の成績が良くなかったからだ(22年は代表を辞退)。