女子100mハードルに“ママさんハードラー”寺田
大会3日目の女子100mハードルには、“ママさんハードラー”こと寺田明日香(33、ジャパンクリエイト)が出場。同じ世界陸上ブダペスト代表だった田中佑美(24、富士通)、昨年の世界陸上オレゴン代表で12秒73(+1.1)の日本記録を持つ福部真子(27、日本建設工業)と対決する。
寺田は5月の木南記念とゴールデングランプリ(GGP)で12秒86の今季日本最高をマークして優勝(木南記念が追い風0.7m、GGPが追い風0.4m)。6月の日本選手権も12秒95で優勝した。そのレースは向かい風1.2mで、適度な追い風だったら12秒7台が出ていたかもしれない。
「シーズン前半は、4台目までのハードル間のタイムを上げることを目標にして、日本選手権までである程度、それができました。シーズン後半は5台目以降を減速しないでキープする方向になっていきます。(実際の速度を維持するには)自分のリズムはテンポを上げないといけない」
7月の頭の南部忠平記念にプレゼンターとして登場した際、上記のように話した。
だが7月以降は万全な体調に持っていくことができず、アジア選手権、世界陸上ブダペストと13秒台のレースが続いた。本来は「パリ五輪の標準記録(12秒77)に焦点を当ててやっていく」つもりだった。全日本実業団陸上で立て直し、12秒77に再チャレンジする。
田中は今季の成長株。4月の織田記念で自身初の12秒台(12秒97・+0.6)をマークすると、GGPで12秒89(+0.4)。日本選手権で福部に0.03秒先着して世界陸上代表の座を勝ち取った。
福部は昨年ほどタイムが上がらなかった。それでも7月のオールスターナイト陸上(実業団・学生対抗)では、12秒90(-0.9)のシーズンベストで寺田に0.02秒先着した。このレースも向かい風で、風が良ければ12秒7台が出たかもしれない。
全日本実業団陸上は昨年、福部が12秒73の日本記録を出した大会であり、会場も同じ岐阜メモリアルセンター長良川競技場である。今年も12秒7台、パリ五輪標準記録突破の朗報を期待したい。
(TEXT by 寺田辰朗 /フリーライター)