全日本実業団陸上が9月22~24日に岐阜市の岐阜メモリアルセンター長良川競技場で開催される。今回は、8月の世界陸上ブダペスト大会出場選手を紹介する。ブダペストではともに外国勢と戦った代表が、岐阜ではライバルとして激突する。
男子10000m競歩で世界レベルの対決
大会2日目の男子10000m競歩に豪華メンバーが揃った。
池田向希(25、旭化成)、髙橋英輝(30、富士通)、古賀友太(24、大塚製薬)が世界陸上ブダペストの20km競歩代表。丸尾知司(31、愛知製鋼)が35km競歩代表。池田は21年東京五輪と22年世界陸上オレゴンの銀メダリストで、髙橋は日本選手権20km競歩優勝6回を誇る。丸尾は17年世界陸上ロンドン50km競歩4位入賞者だ。
さらには19年世界陸上ドーハ50km競歩金メダリストの鈴木雄介(35、富士通)もエントリー。オーバートレーニング症候群などでブランクが生じたが、今年5月に3年ぶりにレースに復帰。5000m競歩で19分16秒55と、まずまずのタイムで歩いた。16年リオ五輪7位入賞の松永大介(28、富士通)は、今大会がラストウォークとなる。
20km競歩のスピードでは、この種目の世界記録保持者である鈴木が1時間16分36秒で一番だが、近年の20km競歩の実績を考えると池田と髙橋の優勝争いになる。池田は1時間17分25秒(日本歴代4位)、髙橋は1時間17分26秒(日本歴代5位)の記録を持ち、2人とも世界トップレベルである。
今年のブダペスト大会こそ古賀の12位が最高だったが、日本の20km競歩は19年世界陸上ドーハ大会から東京五輪、昨年の世界陸上オレゴン大会と、メダルを取り続けた。世界トップスピードの争いを、国内のトラックで目撃できるのが全日本実業団陸上である。
男子やり投にディーンの11年ぶり自己新と崎山の“一発”の可能性
大会2日目の男子やり投にはディーン元気(31、ミズノ)、崎山雄太(27、愛媛陸協)、小椋健司(28、エイジェック)と、世界陸上ブダペスト代表3人全員が出場する。
優勝候補筆頭はディーン。日本選手権も82m65で優勝し、世界陸上でも予選で79m21(A組6位)と、日本勢では最高成績を残した。昨年の世界陸上オレゴン大会では決勝に進出し、9位(80m69)と入賞に迫ったし、今年7月のアジア選手権も83m15で金メダルを獲得した。
今季は82m以上が4試合と過去最多で、12年にマークした84m28の自己記録更新も期待できる。
“一発”が期待できるのは崎山だ。世界陸上では予選で記録なしに終わるなど、安定した強さはないが、今年5月の木南記念では83m54の大アーチを架けた。記録的にはディーンを上回る今季日本最高である。
助走スピードが速いことが特徴で、「はまれば(身体の各部位すべてが最適なポジションで動けば)」大きく伸びる。これまでの競技生活でも、自己新を出すときは一気に記録を伸ばしてきた。木南記念でも3m03の自己記録更新だった。
“一発”が出れば84mを飛び越え、85m台の快記録も期待できる。
小椋は“一発”はないが、21年から3シーズン連続で80m台を投げ続けている。自己記録は21年の81m63。79m以上のパフォーマンスも数多く、昨年の世界陸上オレゴン、今年の世界陸上ブダペストと連続で代表入りしている。
全日本実業団陸上の大会記録は、東京五輪代表だった小南拓人(28、染めQ)が19年大会で出した81m73。小椋とは同学年で、勝ったり負けたりを繰り返してきた。ライバルの大会記録を破れば、自己記録も同時に更新できる。