県の昨年度の決算見込みが人為的なミスで“赤字状態”となり、今年度の補正予算で不足分を補う議案の提出を予定していることについて、県議会はこの議案を審議しない意向を示しました。
この問題は、県の土木建築部が港湾から生じる使用料を過大に見積もったことで昨年度の決算の見込みがおよそ119万円の赤字となり、地方自治法に違反する状態となっているものです。
違法状態を解消するため、県は今月26日からはじまる県議会の中で今年度の予算を繰り上げて不足分を補う議案を提出する予定ですが、21日に開かれた県議会の議会運営委員会で各会派の代表は、この議案が出されても「審議しない」とする動議を出す意向を示しました。

動議は各会派の全会一致で可決される見込みで、県議会で審議されなかった場合、地方自治法に基づき、玉城知事の専決処分で赤字状態解消のための予算執行が行われる見込みです。
【スタジオ解説】
今回の問題は、複数のミスが重なった結果、招いたものでした。

港湾の整備に関して県は、宜野湾港では昨年度の歳入に「その前の年の施設使用料」を計上するミス。中城湾港では施設使用料の一部を二重に計算するミスを犯していました。
ここで119万円の赤字が生じることになりました。

このミスは本来、4月1日から5月末までの「出納整理期間」に現金が実際にいくら入ってきたかをチェックしなければなりませんでしたが、担当部局はここでも不足を確認できませんでした。
このため、適法に処理できる時期を過ぎてしまい、地方自治法違反の赤字状態が生じた、ということになります。
今回県議会は、こうしたミスを補う予算を審議することはできない、という姿勢を示しました。
県は去年も、一括交付金の申請手続き漏れなどのミスを起こしていて、緊張感を持った事務処理が求められます。