急激に進む円安の影響は、私たちの食卓にも押し寄せています。一方で観光地からは「インバウンドの追い風に繋がるかもしれない」と期待を寄せる声も聞かれます。
岡山で取材しました。

(記者)
「円安が進んだ影響で、こちらのスーパーでは外国産の果物などが値上がりしているということです」

岡山市北区のスーパーマーケット「グランドマート」です。原油高などの影響で物価が上がっていた中、円安によってさらに値上がりに拍車がかかっているといいます。

(店の利用客)
「1個1個の値段が本当に全部高いと思います。毎日ごはん作らないといけないので」
「子供が果物好きなので、やりくりしながら・・・」

1カ月ほど前から、輸入品の小麦粉や果物など身近な食材の値上がりが顕著になり、価格が1.5倍になった商品もあります。

(グランドマート 岡本和恵さん)
「こちらは鮮魚コーナーで、特に円安の影響を受けています。当初は『一切れ100円前後』で販売していましたが、円安の影響で今は『一切れ150円』まで上がっている状況です」

店では円安の先行きが見通せない中、客に少しでも安く買ってもらおうと様々な工夫を始めています。

(グランドマート 岡本和恵さん)
「原価が上がった分、基本的にはその分値上げしないとスーパーとして経営が成り立たないのですが、輸入に頼っていた商品も、地元のものや国産のもので探していって、お客様になるべく影響が出ない商品作りを心がけています」

15日には1ドル=135円台半ばという、約24年ぶりの安値を記録した円相場。円安は一方で、輸出企業の業績を押し上げるというプラスの面もあります。現在の金融緩和策を維持することを決めた日本銀行も動向を注視しています。

(日本銀行 黒田東彦総裁)
「急速な為替の変動は、企業の計画策定に関して大きな不確実性をもたらすということで好ましくない」

この円安を「チャンス」ととらえているのは、観光業界です。海外からの入国が再開される中、外国人旅行客にとって、日本での買い物が割安に感じられる円安が追い風になれば、との声が上がっています。

(倉敷観光コンベンションビューロー 前岡修允観光事業推進課長)
「倉敷というか日本全体が『お得な旅行先である』という認識を持ってもらえると思うし、話題にもなると思う。非常に追い風になる情報というか状況なのかなと思う」

一方コロナ禍で2年間、インバウンドに頼らない経営を続けてきた商店からは複雑な声も聞かれました。

(倉敷商店街振興連盟 野嶋雅弘会長)
「インバウンドのお客さんだけを考えると、とてもいい風だと思う。ただ9割のお客さんが国内のお客さんなので、消費も落ちてきているところで、じゃあ観光へ繰り出していこうかと。お客さんの方が心配ですね」

私たちの生活や経済に影響が広がる円安です。期待も不安も入り混じる中、気をもむ日々が続きます。