タブレットは遊び?目が悪くなる?親が子どもの“障壁”にならないように

――デジタル庁が公開している資料(※2)にもプログラミング教育で使用するタブレットを学習以外の目的で利用するのでは、と多くの保護者が懸念を示しています。実際、子どもがスマホやタブレットを使っている姿をみると、目が悪くなる、遊びすぎ、などと注意したくなることも多いです…。

「遊んでいるように見えるし『ゲームなんかしないで勉強しなさい』と言いたくなりますよね。

でも、こう考えてみてください。テーブルで算数の問題を解いていたら『この子は偉いね』って思いませんか?けれど、それをパソコンやタブレット端末に向かってやっていることもあるんです。

それなのに、デジタルに無理解なままだと『ゲームで遊んでるだけでは?』『スマホをいじっているだけ』と判断して、子どもの学習を制限してしまうことになりかねません」

ーー確かに、スマホやタブレットは遊び、というようなデジタルへのネガティブな印象一辺倒になっているケースは多いかもしれないです。

「子どもの学習意欲の障壁になりたいと思っている親はいないと思います。プログラミング教育を理解しようとする姿勢が持てれば、より子どももやる気になるし、今後子どもの学習をサポートする上で「どう学習を進めていくか」親が提示することも可能になるのです」

調べ物は、ネット検索?辞書? 実は、両方が大切のワケ

――デジタルへのネガティブな印象の裏返しかもしれませんが、アナログの良さを強調する傾向も親にはあるかなって思います。例えば、なんでもネット検索する子どもに「調べ物は辞書のほうがいいのに」とつい思ってしまいます。これも改めるべきですかね。

「その気持ちは本当によくわかります。『ネット検索』と『紙の辞書』というのは、それぞれに良さや違いがあると思うんですね。

ネット検索は、迅速に求めているデータにたどり着くし、常にアップデートされています。ただし、そこで見つけたものが必ずしも『正解である』という保証はありません。『正解かも』と思ったけど、結局知りたいことがどこにも無いこともあります。

それに比べると辞書というのは、検索に時間もかかるし、常にアップデートされているわけではないですが、たくさんの専門家が『本当にこれで合ってるのか』と知恵を詰めて作った物です。信憑性は高く、正解に近い情報が得られます。

目的によってツールが変わるという感覚になれたらと思います」

親がプログラミング教育に興味を持つことで、子どもがデジタルに慣れ親しむことを後押しできます。そしてそれは、親世代が慣れ親しんだ「アナログの良さ」を否定するものではないようです。むしろ、アナログの良さについても親が子どもに話していくことができれば、子どもの選択肢はより広がっていくのかもしれません。

※1:リトルソフト株式会社調べ「「プログラミング教育必修化」に関する調査」
※2:デジタル庁「GIGAスクール構想に関する教育関係者へのアンケート結果分析報告資料」より