日本刀を操る81歳の男性、「居合道(いあいどう)」という武道を極めようと日々、修行に励む姿を取材しました。

宮崎市大塚町にある中村居合道場。

ここで居合道の修行に励んでいるのが、黒木義英さん、81歳です。


日本刀を鞘に納めるまでの一連の動きを極める居合道。

修練の過程で心身を鍛えることを目的としています。

(黒木義英さん)「私にとって老後の残された人生は限りがあると思った仕事を離れて自分の好きな趣味活動に熱中したい」


長年、小学校の教諭として働いてきた黒木さん。

定年退職した後、居合道と出会います。

(黒木義英さん)「65歳で居合道を始めたが、子どものころのチャンバラごっこが居合道を始めた原点」

海軍だった父の姿を見て育った黒木んは、幼いころから剣術への憧れがありましたが、戦後は剣道などの武道は禁止されていました。


退職後、そうした幼いころの思いを実現しようと、道場の門をたたいた黒木さん。

65歳という年齢に不安がありましたが、当時の師範の言葉が後押ししました。


(黒木義英さん)「『やりたいなあと思った時が適齢期なんだよ』という言葉をいただいて、よし、じゃあ今から始めるかということで居合道を始めた」

黒木さんは次々と昇段試験に合格。

5段の昇段試験では当時の最高齢、76歳での合格者となりました。


こうした黒木さんの姿に道場の館長は・・・


(中村居合道場館長 中村高達さん)「80歳を超えているが非常に元気よく通常の稽古以外にも個人稽古を申し込まれて腕を上げている」

居合道を極めようと日々修行に励む黒木さんですが、趣味はほかにも・・・

道場に飾られている木彫りの面。


実は黒木さんが制作したものなんです。

このほか、漢字検定では、合格率12パーセントの準1級に200点中188点で合格。
「居合道」も「木彫り」も「漢字検定」も、退職後に始めたものです。

(黒木義英さん)「漢字検定や木彫り面をしているのは小学生の頃の延長戦だと思っている」

衰えることのない好奇心とともに、様々な趣味に打ち込む黒木さん。

その原動力は?


(黒木義英さん)「仲間たちとの交流、仲間との触れ合いが趣味を楽しくすることのコツ。老骨に鞭を打ってたくましく生きるように頑張ります」