同じ病院に勤務していた医師や元職員が証言する労働環境

 病院の言う通り、晨伍さんは自己研鑽で長時間病院に残っていたのか。当時勤務していた医師が匿名を条件に私たちの取材に応じた。

 (同じ病院に勤務していた医師)「自主的にやっていることかと言われますと、例えば患者さんの診療が夜遅くまで長引いているとか、夜間の急患ですね。患者さんの診療にあたる時間というのが時間外労働の中でもほとんどなんですね、実際。学会発表というのは、指導医から例えば次の何月の何学会に演題を出してねとか、そういった言葉での指示があって始めることですので、それは上司の指示と理解していました」

 医師は「そもそも患者の診察に追われていた」と証言。また、学会報告は自己研鑽としてすることはなく、上司の指示によるものだと話した。

 (同じ病院に勤務していた医師)「若い研修期間の医師は、お金ではなくて経験を積むべき時期である、みたいなことを言われた方もいました」
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 また別の職員は「時間外労働を過少に申告するよう暗に指示があった」と証言した。

 (当時勤務していた元職員)「(甲南医療センターが)コロナでだいぶ赤字だったみたいで、それでかなり経営状態が悪いって話はよく院長先生を含めて上からお達しがありました。できるだけ無意味な超過勤務をつけるなっていうところだと思いますね。時間内でできる仕事は全部時間内で終えるように頑張れっていう。できないんですけどね…」