「民意を反映するという点では以前(中選挙区制)の方が良かった」
細川氏は、自らが提案した小選挙区250、比例250が実現していたら与野党間の差は縮まっていただろうと話した。だが今の制度でも、民主党が政権を奪取したように政権交代は可能だという。

細川護熙 元内閣総理大臣:
「政権交代の仕組みは政治改革で作ったわけですから、問題はプレーヤー。明確なわかりやすい旗を掲げる人が出てくれば、政権交代はまだあるじゃないかと…」
しかし、河野氏はあの選挙制度改革は失敗だったと明言する。
河野洋平 元自民党総裁・元衆院議長:
「(選挙制度改革)以前に比べ政治が良くなっただろうか…と考えると、民意を反映するという点では以前(中選挙区制)の方が良かったんじゃないかって…。以前の方がはるかにいろんな意見が、党内でも出ていた。
いろんな議論が活発に行われていた。それが政策に反映された。今は、私もう中にいないんでわかりませんが、ほとんど議論が聞こえてこないし、あらかじめ決まったものがそのまんま通ってしまう。
とりわけ安保関連3文書とか、最近のいくつかを見るとこれはもっと議論してほしい…、これはもっと国民の中にいろんな意見があるんじゃないかって…。そう見ると(あの改革は)良かったんだろうかという反省はあるんです」
確かに中選挙区制時代の方が少数意見も拾われていた。小選挙区制ではひとつの考えしか生き残れない。さらに小選挙区制の弊害を後藤氏は指摘する。

ジャーナリスト 後藤謙次氏:
「この選挙制度、当時幹事長だった梶山(静六)さんが大反対しました。反対の理由は“この制度は執行部独裁制を作るんだ”。つまり小選挙区では党内で一人しか公認されない。その公認権は執行部が握るわけですから、執行部には反旗を翻せない。結局みんな従順なネズミを捕らない猫になってしまう。現に今そうなってますよね。
それをフル活用したのが小泉さんであり、安倍さんですよ。特に小泉さんはこの制度に猛反対した人ですよ。その人が政権を取ったらフル活用。とにかく野党を作らない。党内野党も作らない。そうなると党内議論も起こらない。その結果、政治家の劣化を招いた…」
河野洋平 元自民党総裁・元衆院議長:
「あの当時とにかく政治不信というのがあって、それを払拭するためには政治改革だってなった。じゃぁ政治改革って何をやることかって…。色々あったはずなんです。議論の進め方もあったと思います。
でも何となくある時点から“政治改革っていうのは小選挙区制を導入することだ”ってなったんですよ。何でそうなったのか私にもよくわからない…政治改革とは小選挙区制だっていう、あのすり変わりが…、あっという間にそうなってしまった」
小選挙区制の弊害はかねてから指摘されてきた。河野氏も中選挙区制に戻せとは言わない。完璧な制度など無いのかもしれないが、ここにも必要なのは議論だろう。それがなくなるシステムだけは改善されるべきだろう。
(BS-TBS 『報道1930』 9月12日放送より)