影響は台風以外にも 深刻な影響もたらす“海の温暖化”

今回示された、ますます台風が強まるおそれがあるという研究結果。少しでも被害を軽減するために、より一層の備えをすることが大切です。
しかし、その影響は台風だけにとどまらないと岡准教授は指摘します。
東京大学 大気海洋研究所 岡英太郎准教授:
「モード水の減少によって海面水温が上がれば、影響が出るのは台風だけではありません。海の水が混ざりづらくなれば、深海にある栄養豊富な水が上がってこなくなり、海洋生物が減少します。当然、漁業にも影響が出ます」
岡准教授によると、地球の7割を覆う海は、豪雨や猛暑などの大気現象と密接な関係があります。さまざまな気象の解明には海に関する観測が不可欠ですが、実は海洋観測は発展途上だといいます。
東京大学 岡英太郎准教授:
「従来は海洋観測は船によるものがほとんどだったので、それほど頻繁に多地点で行えるわけではありませんでした。現在は観測ロボットも導入され、よりデータを集めやすくなりました。日本は気象庁が50年以上続けている観測があるので今回のような研究を行うことができましたが、大気現象の研究するには、さらに海の観測を進め、長期的なデータを取り続けていくことが欠かせません」
大気の観測に比べ、歴史が浅いという海の観測。大々的に行なわれるようになったのは戦後になってからでした。岡准教授は「さらに海の観測を進めることで“異常気象”などが発生する原因に迫り、長期的な目線でこれからの気候がどう変化していくのかを調べていきたい」としています。