HBC北海道放送が制作したドキュメンタリー映画「ヤジと民主主義 劇場拡大版」が12月9日(土)からポレポレ東中野(東京)とシアターキノ(札幌)ほか全国公開することが決まりました。

複数の警察官に取り囲まれ、腕をつかまれているのが原告の女性(2019年7月)

 2019年7月15日、札幌で参議院選挙の応援演説をしていた安倍晋三総理(当時)にヤジを飛ばした市民が警察に排除されました。さらに年金政策を批判するプラカードを掲げようとした女性らも排除されました。「政権批判を封じたもので、表現の自由を侵害し、民主主義を脅かす問題」として弁護士や憲法などの研究者、多くの市民らが抗議しました。男女2人が北海道警察を所管する北海道を訴え、1審は勝訴しましたが、2審は判断が分かれ、裁判は現在も続いています。

 本作はギャラクシー賞や日本ジャーナリスト会議のJCJ賞など多くの賞を受賞したドキュメンタリー番組「ヤジと民主主義~小さな自由が排除されたとき~」(46分)をもとに、その後の裁判の状況や排除された当事者の思いなどに迫った内容です。

 排除された「小さな声」は何を暴いたのか?社会に不寛容が広がり、メディアの忖度が指摘されるなか、声を上げることの大切さを正面から描いた本作は、決して人ごとではない問題がこの国に起きていることが切実に伝わってくるものになっています。