2007年の中越沖地震。最大震度6強を記録したこの地震は、柏崎市の山本団地にも被害をもたらしました。団地に住む上野浩明さん(58歳)が、当時の様子を語ってくれました。

【山本団地地域再建を目指す会代表 上野浩明さん】「ちょうどこの辺に亀裂が入って、家が沈下して傾いた。本当に何が起きているのか全く理解できなかったが、後にこれが“液状化現象”だというのを知った」
山本団地は川沿いを盛土で埋め立てた造成宅地で、液状化などにより家屋50戸が全半壊の判定を受けました。しかし当時、宅地の再建がなかなか進まず、地震後1年4か月にわたって避難勧告は続きました。
【山本団地地域再建を目指す会代表 上野浩明さん】「再建に向けた公的支援金というのがあくまでも“建物の災害”に対する支援金であって、我々のような“地盤の被害”に対するという面では当てはまらない部分が多くあった」
山本団地の住民は「みんなで山本に帰る」を合言葉に『山本団地地域再建を目指す会』を結成し、公的な支援を宅地の地盤に当てはめるよう、国や県などに働きかけを行いました。
【山本団地地域再建を目指す会代表 上野浩明さん】「思いが通じて、我々が当時日本で初という『大規模盛土造成地滑動崩落防止事業』を適用してもらった」
この事業は2004年の中越地震をきっかけに作られたもので、盛土で造成した宅地の地盤を強化する際に、その費用の一部を国が補助するという制度です。山本団地が初適用となり、地盤に水がたまらないようにする液状化対策工事費1億6000万円のうち、4000万円を住民が負担することで再び山本の地に戻ってくることができたのです。

ただその後、新潟県によりますと、山本団地で液状化対策が行われて以降、国の制度を使って災害が起こる前に未然防止の目的で宅地の液状化対策をした県内のケースはありません。