東京電力福島第一原発の処理水が海へ放出されてから、2週間あまりが経ちました。漁業関係者の葛藤、応援などさまざまな動きがあるなか、「常磐もの」のおいしさを伝え続ける料理人の男性がいます。福島県浪江町の請戸漁港に揚がった海の恵みにこだわる料理人を追いました。

とびきり新鮮で、脂のうま味を感じることができるマダイ、そしてヒラメのお造り。

魚をさばくのは、二本松市で居酒屋「海の雅(みやび)かわせ」を営む料理人・川瀬洋さん(51)です。

16年前にこの店を開いた川瀬さんのこだわりは、浪江町の請戸漁港で揚がる新鮮な旬の常磐ものを使った料理です。

川瀬洋さん

川瀬さんは、子どものころ、何度も海水浴場に遊びに行ったことなどが請戸との出会いでした。「請戸は魚がおいしい」。夢だった料理人を目指して高校卒業後は関東で働き、独立したときには請戸の魚を使おうと決めていました。

その夢は叶いましたが、オープンから4年、原発事故の影響で請戸の魚が一切使えない時期がありました。3年前、再び請戸の魚を扱えるようになった時川瀬さんの喜びは大きかったといいます。

川瀬洋さん「もう喜びしかなかったですよね。また請戸の魚が使えるという喜びと、それを使ってそれをお客さんに提供して喜んでもらう、頑張ってやるぞという。」