ブラックボックスの回収をめぐり米ソは“一触即発”

 当初から大きな謎とされたのが、大韓航空007便は、なぜ予定の航路を外れ、ソビエト領空を飛行したのか、ということでした。その解明のカギを握るとされたブラックボックス(航空機に搭載されている、操縦室内の音声と飛行データを記録する装置)を発見しようと、墜落地点に近いサハリン西側のモネロン島(海馬島)付近には、ソビエトとアメリカ両国の艦船や航空機が集まり、互いをけん制しました。
 当時HBCは、船で現場海域に向かった乗客家族を取材。そのときの取材テープには、乗客家族が乗った船のすぐ上を、威圧するかのように飛び去るソビエトの航空機が写っています。
 「国境の海は、日ソ両国の捜索合戦の色彩を強めております」。
 現場上空をヘリで取材したHBC記者は、放送でこう報告しました。

乗客家族が乗った船の上を飛ぶソビエトの航空機(1983年9月6日・第5宗谷丸の船上から)
大韓航空007便の本来の飛行経路と実際の飛行経路(ソビエト側の発表)
現場海域を捜索するアメリカ海軍駆逐艦エリオット(1983年9月・稚内沖)※1