今月23日から中国・杭州で始まる第19回アジア競技大会(アジア大会)に向けて、陸上男子100m代表・桐生祥秀(27、日本生命)が3日、山梨県・富士北麓公園陸上競技場でスピード強化を図ることが目的の短期合宿に入った。

去年、競技へのモチベーションの低下から約4か月の休養を挟み、今季からレース復帰。国内復帰2戦目となった今年5月6日の木南記念男子100m予選で10秒03をマーク。セイコーゴールデングランプリ横浜(5月21日)での左太もも裏肉離れにより6月の日本選手権を欠場、予定より回復は早かったが炎症が長引き、約2か月間リハビリに励んだ。

今回はスピード強化練習に移行するための短期集中合宿。3日から5日までの3日間でレース仕様の身体にシフトする事が狙いだ。この日の練習は移動日ということもあり、スピードを抑えた上で身体の動きを確認。ウォーミングアップが終わると120mを2本、スタートダッシュを5本ほど行い脚の運びやフォームの確認を行った。

スピード練習を久々に行ったこともあってか「走り方どんなんやったっけ?走り方忘れた」と笑いながらコーチ陣と談笑していた。1本走ったらすぐに動画でフォームをチェック、一本一本丁寧にトライアンドエラーを繰り返しながらアジア大会へ向け身体を仕上げていた。

「思った以上に怪我が長引いて予定していた復帰時期を遅らせているが、今は問題なく走れているので徐々にレースに向けて仕上げている。今どのくらい自分が走れるのかレースになってみないとわからないので楽しみ」と話した。

そして、桐生は普段、あまり陸上の大会などはテレビでも見ないが、先月の世界陸上はテレビで観戦していたそうで「北口さんが優勝して、ハキーム君も2大会連続で決勝に進出して強いなと思った。準決勝で9秒台を出せれば決勝にいけるが、今の自分にはその力がまだないので、これからしっかりスピード練習を積んで足りない部分を補っていきたい。リレーも視聴者として観戦、メダルを取ってほしいという気持ちで見ていた。バトンもしっかり繋ぐ姿を見て自分も走りたくなった」と話す。

アジアのオリンピックと言われるスポーツの祭典、アジア大会、桐生は2018年のジャカルタ大会男子4×100mリレーに出場し、3走で日本の20年ぶりの金メダル(38秒16)に貢献。個人種目では、2014年の仁川大会を欠場しているため、今大会が初出場となる。「休養から復帰してまだ予選、準決勝、決勝とラウンドを重ねる練習をできていないので、そこを意識して臨みたい。来年のパリ五輪に向けて10秒00を切ることが今年の目標なので達成したい」と意気込みを語った。

復帰戦は今月22日(金)から始まる全日本実業団陸上(岐阜メモリアルセンター長良川競技場)を予定している。