仙台医療圏の4病院再編を巡り、村井知事は31日の審議会で、宮城県立精神医療センターを富谷市に移転させる代わりに名取市に、別の精神科病院を誘致する考えを明らかにしました。「4病院再編を実現できなければ知事を辞める」と話し計画に理解を求めましたが、委員からは反対意見が相次ぎました。
村井知事:
「県内で経営実績のある精神科病院の中で、名取市内で新病院を建設してくださる病院があるかどうかを公募してみたい」

これは31日開かれた県の精神保健福祉審議会で村井知事が明らかにしたものです。
県の4病院再編構想は、名取市にある県立精神医療センターと仙台市青葉区の東北労災病院を併設して富谷市に。太白区の仙台赤十字病院と県立がんセンターを統合して名取市に移転させる計画です。構想通り進めば名取市内から公立の精神科病院が無くなります。

「通院が難しくなる」など不安や反対の声が相次いでいることから村井知事は、名取市内に別の民間の精神科病院を誘致して不安を解消したい考えです。
しかし、審議会では・・・。
県精神科病院協会会長 岩舘敏晴委員:
「やってくださいと言って経営的にやれる民間病院は見つからないのでは。(民間病院が)手を挙げなかったらどうされるのか」

また、公約を果たすため計画を進めるという知事の姿勢に反発が相次ぎました。
弁護士 草場裕之委員:
「知事は何度も公約のことを言っているが、審議会は政治の場ではない、当事者や医療関係者が集って精神医療や福祉をどうするか議論しているので」

村井知事:
「県民に対し約束したわけですから。私が当選した以上は絶対に実現できなければ(知事)を辞めなければならない。だめになったらそれくらいの責任をとるつもりでやっているわけですよ」

県医師会常任理事 高階憲之委員:
「はっきり言って我々にとって知事の進退は関係ないお話です。それをメインに出されても、それでは顔をたてましょう、メンツをたてましょうという話にはならない。患者さんにとって一番良いことは何かが優先です」

一方、「公約を決める前に当事者の話を聞いたのか」との質問に対し村井知事は「私の知り合いにも疾患がある人がいるので聞いている」などと答えていました。
村井知事:
「宮城県で、すでに実績のある病院がやってもらえれば(精神医療センターの)サテライト機能も十分に果たせると思うので、まずはこの方向で話を前に進めていきたい」
精神科病院の誘致に対し審議会は「医師や看護師が不足しているなか現実性がない」などとして反対多数の意見をとりまとめましたが、村井知事は近日中に公募に向け要項をまとめる姿勢を強調しました。
村井知事は4病院再編について「民間病院の厳しい経営」や「病院の適正配置」を理由に上げていました。ここにきて新たな病院誘致を打ち出すのはこれまでの説明と整合性がとれるのか。当事者からは「場当たり的で患者を第一に考えていない」との厳しい声も聞かれます。9月に開会する議会でも議論が行われる見通しです。