東京電力福島第一原発の処理水の海洋放出が始まって31日で1週間です。周辺で取れた魚の放射性物質トリチウムの濃度にこれまで異常はありませんが、宮城県内の鮮魚店からは「将来に対する不安」の声が聞かれました。
東京電力は、8月24日に処理水の海洋放出を始めました。今回は、タンク30基分にあたるおよそ3万1200トンを17日間かけて放出する予定です。
多賀城市の海洋生物環境研究所では、放出後、30日までに福島原発の沖合でとれたヒラメ、ホウボウ、トラフグの8検体を検査してきしたが、トリチウムの濃度はすべての検体で検出できる限界値を下回る「不検出」でした。

しかし、県内で取れた魚を主に取り扱っている女川町の鮮魚店では、今後放出され続ける処理水の安全性には不安があるといいます。
克丸鮮魚 渡辺克之さん:
「やっぱり1年後とかにどういう数値が出るかだよね。子、孫の代に影響が出てきたら大変だもんね」

そんななか、店には中国の国番号から迷惑電話もかかってきたといいます。
克丸鮮魚 渡辺克之さん:
「突然電話が鳴って、出たら片言の英語かなんかで話しかけられてわけわかんないからすぐ切った。いたずら電話はね…。ただでさえ忙しいときあるんだから困る」

また、懸念されるのが観光業への影響です。県観光課によりますと、現時点で外国からの団体旅行のキャンセルなど確認されていませんが、今後、現地での過ごし方に影響を与える可能性があると話します。
県観光課 新妻優樹主幹:
「宮城県内を訪れた外国人観光客が、飲食店や宿泊施設で水産物の提供を拒否したりとか起きないか懸念される」

処理水の放出には30~40年かかる見通しで、影響について今後も監視を続けていく必要があります。