9月23日に開幕するアジアの五輪と言われるスポーツの祭典、アジア大会を盛り上げるべく、「TBSアジア大会応援団」に就任した元プロ野球選手の杉谷拳士さん。様々な競技の魅力に迫る「杉谷拳士やりスギ全力取材」第5弾は、1980年代に大ブームを巻き起こした“インラインスケート”。今大会からの新種目でフリースタイルのスピードスラロームとスラロームペアに出場する、女子の日本記録保持者・守時実香選手(21、ノートルダム清心女子大/一般社団法人日本インラインスケート協会)と世界ジュニアチャンピオンの柴垣大輝選手(19、早稲田大/一般社団法人日本インラインスケート協会)に話を聞き、その魅力に迫った。

杉谷拳士さん:インラインスケートのフリースタイルは、そもそもどんな競技なんですか?

守時実香選手:スピードを競う種目と、フィギュアスケートのように芸術点、技術点を競う種目があります。

杉谷:スピードを競う種目はどういった競技内容ですか?

守時:まっすぐ走ってきて、コーンを片足でスラローム(くねくねと左右に曲がるように走行すること)する。タイムを競う競技です。

スピードスラロームをしている守時実香選手

杉谷:コーンとかにぶつかってはダメなんですか?

守時:コーンにぶつかってしまうと、0.2秒タイムが加算されてしまうので・・・

杉谷:0.何秒という世界なんですね。

守時:そうですね、世界記録だと3秒台とかになります。

杉谷:何m間でスピードを競うんですか?

守時:助走が12mで、コーンの長さが15.2mなので、約30m。

杉谷:30mの世界なんですね。そこで、0.0何秒・・・早ければ勝ち?

守時:(ゴールラインのゲートセンサーを)早く切った人が勝ちです。

杉谷:そこにまた美しさ(を競うの)も別競技であるということですよね?

守時:はい、この競技とは別であります。

杉谷:守時さんは(アジア大会で)何の種目に出られるんですか?

守時:スピードスラロームとペアのスラロームの2つに出ます。

杉谷:アジア大会ではお二人(守時選手と柴垣選手)がペアを組まれる?

守時:はい。

杉谷:全然違う競技じゃないですか?

守時:全然違います。スピードはとことん早く、ペアの方は美しくシンクロした動きで難しい技をする。

杉谷:インラインフリースタイルスケートの魅力はどんなとこにありますか?

柴垣:このブーツを履いてやっぱり頭では考えられないようなすごいことができるようになるっていうことが一番楽しいかなと思ってます。

杉谷:僕、競技をされる方の道具がものすごく好きで、ちょっとブーツを見せてもらいたいんですけども・・・

柴垣さんが着用しているスケートのブーツ

杉谷:ローラースケートって、なんかもっと真っ黒のイメージだったんすけど、色鮮やかで・・・また車輪の色が違うんですよ。これ特注ですよね?なぜ色を黄色とオレンジにされてるんですか?

柴垣大輝選手:ウィール(車輪)によって、やっぱり路面の食いつきとか、硬さっていうのが違うので、それによってこのウィールを使い分けたりしてます。

杉谷:体育館とかだったらちょっと柔らかい方がいいとか?

柴垣:そうですね。体育館だとやっぱりグリップって言って、床の食いつきがあるので、それに対応したウィールです。

杉谷:インラインフリースタイルのスピードの魅力、またこのペアでの魅力ってどんなとこにありますか?

守時:スピードスラロームの方はまずタイムトライアルがあって、タイムで対戦相手が決まるというトーナメント式になっていく。その上位何名かが決勝ラウンド進出っていう形になって・・・そこから対面のトーナメント式で優勝が決まる。ペアは3分間の演技をする一発勝負です。

杉谷:(ペアは)点数が高いペアが優勝?一つでも、もし間違えたら減点になるんですか?

守時:そうですね、コーンを蹴ってしまうと、1点減点でしたり、転倒してしまうと、もう少し大きく、3点とか5点とか減点です。

ディレクター:(ペアの種目では)レーンは3つあって、その中で競技するんですよね。その3つは幅が違うってことですか?

守時:そうです。1つは、80センチ間隔の20個、もう1つは50センチ間隔が20個と、さらに120センチ間隔が14個の計3レーンあります。

柴垣:3分間なんですけど、曲調に合わせて、レーンを使い分けていくっていうのが、一つ見どころかなと思います。やっぱり間隔が狭いところはスピードとか細かさを見せて、一番大きいところだとダイナミックさを生かした演技になっています。

(左)守時実香選手(右)柴垣大輝選手

実際に杉谷さんが人生初のインラインスケート・スピードスラロームに挑戦。守時さんから「スキーの感じに近いかもしれない」とアドバイスを受けると「何一つ(他の)競技をやったことがないです。青春を全て野球に注いできた」となぜか自慢げに返答した杉谷さん。その言葉通り(?)練習から大苦戦し、スピードスラロームでは、後ろに思いっきり転倒した。

守時:大丈夫ですか!?

杉谷:大丈夫、大丈夫。自分の筋肉のどこを動かしているのか分かっていないから怖いです。これを片足でやるのか、相当な身体の使い方をしないとできないですね。

スピードスラロームをしている杉谷拳士さん

コーンの数を15個に減らし、両足で滑る特別ルールで再挑戦すると、おぼつかないながらもゴールまで一度も当たらず大成功。元アスリートの杉谷さんでも難しいインラインスケート。スラロームペアは大会11日目の10月4日、スピードスラロームは12日目の5日に行われる予定。

【ローラースポーツ/ローラースケート代表】
■男子1000m、10000m
加藤勝己(26、ボーキ佐藤株式会社)

■男子スピードスラローム
柴垣匡義(24、株式会社ヤクルト本社)
柴垣大輝(19、早稲田大/一般社団法人日本インラインスケート協会)

■女子スピードスラローム
守時実香(22、ノートルダム清心女子大/一般社団法人日本インラインスケート協会)

■女子フリースケーティング
藤倉みき(29、社会医療法人川島会川島病院)

■スラロームペア
柴垣大輝(19、早稲田大/一般社団法人日本インラインスケート協会)
守時実香(22、ノートルダム清心女子大/一般社団法人日本インラインスケート協会)

【アジア大会公式】
X(旧Twitter)
TikTok