素晴らしい歌が眠っている…

今年のコンサートは9月に大分県国東市で開催予定で、Utaさんらは6月末に市の北部にある国見町の櫛来地区を訪ねました。今回注目した民謡が「櫛来土手つき唄」です。この地区で古くから稲作用の「ため池」の造成で土手をつくとき、皆が息を合わせるために歌っていました。イベントや祭りで披露してきましたが、コロナ禍でその機会も減少。地元に住む国広テル子さんと岐部小夜子さんが最後の歌い手です。

「櫛来土手つき唄」は太鼓の演奏のみで、歌のリズムは口頭で受け継いできました。楽譜は存在していないため、Utasさんらは国広さんと岐部さんに実際に歌ってもらいがら、譜面を起こしていきました。

国広テル子さん:
「今まで楽譜がなかったから作ってもらい本当にびっくり。興味を持っていただいて『私もやりたい』という人が出てきてくれないかなと思ってね。私たちのあとがいないもんね。本当にだれか後継者が増えてくれたらいいなと思っています」

視察を終えたUtaさんらは民謡を後世に残したいという地元の人たちの思いも受け、ジャズ風のアレンジに試行錯誤を重ねます。

トランペット奏者 枝次竜明さん:
「自分たちがアレンジしたもので歌を届けるというのがすごくキーだと思っていて、そこからオリジナルの曲にちょっと興味を持ってほしい。なので変なものは作れないなという思いです」

アレンジした演奏で原曲の魅力を引き出そうと、Utaさんらは9月9日に開催されるコンサートに向け練習を重ねます。

Utaさん:
「こんなに素晴らしい歌が眠っているんだなっていうことを実感していただきたい。それから、自分の住んでいる地域にはどんな歌が隠されているのか、眠っているのかなっていうことも思ってほしい。そんなきっかけになるコンサートにしたい」