農作物への被害を及ぼすイノシシを食肉として処理し加工する施設が、宮城県大崎市で廃校となった校舎に完成し、29日、地元住民に公開されました。イノシシの処理施設は、東北で初めてです。

大崎市岩出山に完成したのは、「ジビエ食肉処理加工施設」です。廃校となった旧真山小学校の校舎を一部改修し、大崎市が総事業費およそ2億2000万円をかけて整備しました。

29日は、地元の住民らおよそ70人が、市内で捕獲したイノシシを食肉として処理し加工する施設を見学しました。

地元住民:
「この事業が成功して、私たち地元住民も誇れる施設になればいい」

旅館の料理長:
「コース料理の一品や追加料理の一品で、大崎市特産のジビエ料理を何か開発して旅館に来たお客さんに提供していきたい」

イノシシによる農作物の被害は全国的に増えています。大崎市で昨年度捕獲されたイノシシは373頭で、被害金額はおよそ400万円にのぼります。

伊藤康志大崎市長:
「これまでの頭の痛い鳥獣被害から、地域資源として有効活用していく。これを食文化として育てていくことが地域を元気にし、これからの地域のあり方の方向性を出してくれると期待している」

大崎市では、この施設で処理したイノシシの食肉を今年10月からジビエ料理を提供する鳴子温泉の旅館や市内の飲食店などに販売を開始し、5年後には年間500頭以上の処理加工を目標にしています。

宮城県内で捕獲されたイノシシは、福島第一原発の事故以降、出荷が制限されています。このため、この施設では全頭検査をして放射性物質が基準値を下回った食肉を出荷します。