『ドラゴンボール』『Dr.スランプ』などで知られる漫画家・鳥山明さん原作のアニメ映画『SAND LAND』が話題だ。ジャーナリストとして硬派なドキュメンタリーを制作する一方、歴史やサブカルチャーにも造詣が深いRKB毎日放送の神戸金史解説委員長が、コメンテーターを務めるRKBラジオ『田畑竜介 Grooooow Up』でこの映画の魅力を熱く語った。
◆原作は“圧倒的完成度を誇る名作”

漫画家の鳥山明さん(68)と言えば。『ドラゴンボール』『Dr.スランプ』などで知られていますが、鳥山作品の中で“圧倒的完成度を誇る名作”と称される漫画が『SAND LAND(サンドランド)』なのだそうです。
私は鳥山さんの絵柄が好きなんですよね。と言っても、コミックをいっぱい本棚に並べているほどの熱烈なファンというわけではありません。この原作漫画も知りませんでした。ただ絵を見ると「あっ!」と反応して、この映画『SAND LAND』も公開されてすぐに観てきました。
物語の舞台は魔物と人間が共存する、摩訶不思議な砂の世界。水源である川が枯れてしまった砂漠です。そこに、ワルだけどピュアな全身ピンクの悪魔の王子「ベルゼブブ」が、人間の保安官・おっさんの「ラオ」と組んで、砂漠のどこかにある“幻の泉”を探す旅に出る、冒険ファンタジーです。まさに「鳥山さんの世界だな」という感じ。監督は横嶋俊久さんで、106分です。

鳥山さん自身、『SAND LAND』について「魔物と老人とミリタリーなど僕好みの渋いネタを詰め込んだ、個人的にもっとも大好きな漫画作品」と言っています。インターネットでも予告編が公開されています。
予告編(90秒)から
「オレは悪魔の王子、ベルゼブブ。勘違いしてもらっちゃ困るぜ、ワルなのは確かなんだからな。例えば、この間は夜ふかしした上に、歯も磨かずに寝てやった。どうだ、かなりのワルだろう?!」
こんな感じで、テンポよく楽しいストーリーが続いていきます。主題歌は、22歳のimase(イマセ)が歌う「ユートピア」です。
◆人間ぽいメカ 人なつこいキャラクター

ストーリーについてはあまり触れない方がいいと思うんですが、個性的でユーモアあふれるキャラクターがかわいくて人懐っこいんです。とくに僕が好きなのはメカ。戦車や自動車が丸っこくて、動きもなんとなく人間っぽいんです。
まさに「鳥山ワールド全開」という感じで、すっかり鳥山さんの世界に浸ることができました。キャラクターは鳥山さん独特の顔立ちで、特に、国王軍のアレ将軍は昔からの鳥山キャラの顔で、観ているだけで楽しくなってしまいます。
私が通っていた高校では、中学生たちが入学試験を受けに来る時、模造紙に「頑張れ」と応援メッセージを書いて受験会場に貼るという習慣がありました。絵心はないのですが、当時連載中の『ドラゴンボール』から、「かめはめ波」を放つ亀仙人と、セクシーポーズを取ったヒロインのブルマを見よう見まねで描いて「祈合格」と書いたことがあります。それくらい、鳥山さんの絵は大好きです。
◆原作コミックも買ってみた

映画を観てすぐ、原作コミックを買いました。映画のストーリーは、ほぼ原作に忠実でした。監督が鳥山さんの原作をリスペクトしていることがよくわかる感じでした。
原作は2000年に「週刊少年ジャンプ」で短期集中連載。11月に初版発行されました。私が買った本は2023年7月発行の23版。ロングセラーで、今回は映画に合わせてまた増刷されているんだろうと思います。初めて読みましたが、「これをよく映画にしてくれたなあ」と思いました。映画のTシャツも買ったので、きょうは着てきました。














