きっかけはいじめではなく「しょうもないこと」、だから「誰にでもあり得ること」

牧野:この日のこの出来事といった直接的なきっかけはあったんですか?

山田:直接のトリガー(引き金)となったのは、登校途中で大きい方を粗相してしまうということがあって、現象だけ見るとしょうもないことやなといわれると思うんですけども、「優秀な山田くん」からすると、何か糸がプツンと切れて、そこからひきこもりになってしまったー、簡単にいうとそういうことですね。

牧野:山田さんの場合は、学校でいじめられてという外部からの影響ではなく、違うパターンで引きこもりになったということですか?

山田:いじめとかじゃなかったです。小6の夏ぐらいから中学の受験勉強を始めたんですけど、小さな塾で親も受かると思ってなかったのに、それで受かったもんやから、塾の先生が街中にビラを撒いたんですよ。「きみも山田くんになれる!」っていうビラを。

牧野:それはプレッシャーになりましたよね?

山田:そう、それで一目置かれていると思っていたし、勝手に何か自分を追い詰めていたというか、「こうでないとだめだ」みたいな気持ちがすごくあって。結構真面目だったんでね。ところが、一生懸命に勉強や部活をやっているとやっぱり疲れてしまうということだと思っています。

牧野:そうなると、周りの人から見ると、かなり意外だったんじゃないですか?

山田:周りからは、「あの山田がひきこもり?」みたいな感じじゃないんですか。あの山田さんとこの順三くん、何か学校行ってないらしいみたいな。近所の噂話で親も多分疲れてしまって、結構苦労をかけたなといまさらながら反省しているんですけど。