トラブルの背景に経営状況の厳しさ

ことでんが安全対策に積極的になれない理由の1つが、経営状況の厳しさです。新型コロナによる運賃収入の減少で、その姿勢が鮮明になりました。

(鉄道事業本部長 植田俊也専務)「鉄道の運賃収入で社員300人、沿線60キロをきっちりと維持していくというのは、現状厳しかったというのは間違いありません。ただ、やはり鉄道会社というのは安全安心輸送というのが一番でございますので」

地域の公共交通を何とか維持しようと、香川県はことでんに対して、安全のための設備投資費に今年度1億5000万円の補助を行っています。これだけの税金が使われながら踏切のトラブルは一向に減る気配がありません。

(池田豊人香川県知事)「県民の安全に直結する問題であります。ことでんには原因究明と再発防止についてしっかりと必要なことをしていただきと思います。強く県からも働きかけをしたいと思います」

ことでんは今月(8月)19日にトラブルがあった円座踏切については当面の間、監視員を配置し安全を確認しながら運行することにしています。

また、真鍋社長は責任を取って辞任し、新たな体制で踏切の安全対策に臨む方針を示しました。

(高松琴平電気鉄道 真鍋康正社長)「安全設備投資というのをどういった方針のもとに計画的におこなっていくかということは、我々は改めて見直していく必要があると思っています。組織全体の安全意識を再度高めていく必要があると痛感しております」

厳しい経営がトラブルの背景にあるとはいえ、安全をないがしろにしてはならない。ことでんで相次ぐ踏切トラブルの対策にその姿勢が問われています。