福島第一原発のALPS処理水の放出を巡り、岸田総理と全漁連幹部との面談が21日官邸で行われました。政府は「今月中」に放出を始める方向で調整していて、県内の漁業関係者からは複雑な心境が聞かれました。
岸田総理:
「安心して生業を継続できるよう必要な対策を取り続けることを、たとえ今後、数十年の長期にわたっても全責任をもって対応することをお約束いたします」
全漁連 坂本雅信代表理事会長:
「科学的な安全と社会的な安心は異なるもので、科学的に安全だからといって風評被害がなくなるわけではない。現に風評被害はおきています」

面談は午後4時から官邸で行われ、宮城県漁協からも寺沢組合長が出席しました。冒頭のみ公開された面談では、岸田総理が漁業者への長期的な支援を約束し、処理水の放出に理解を求めました。
これに対し、全漁連の坂本会長は、風評被害対策の基金の積み増しや見直しについて、総理が率先して毎年行ってほしいなどと要望しました。
全漁連 坂本雅信代表理事会長:
「我々の理解は進んでいますが、我々の望みは安心して漁業を継続することであります」

政府は、8月中に放出を始める方向で調整を進めているということですが、面談では具体的な日程は提示されなかったとみられます。
こうした中、石巻市内の漁業関係者は複雑な思いを抱いています。
遠藤仁志さん:
「手厚い補償をしていただければ何とかなるが、でも漁師の考えでいくと補償ではなくて、つくってなんぼ育ててなんぼ、魚をとってなんぼなので、そこは変わらないのでそこを頭に置いてもらって補償を進めてほしい」

岸田総理は22日、関係閣僚会議を開き、放出時期を正式に決める意向です。