「生徒さん」とは対等の立場

授業前の懇談の様子

 札幌市立星友館中学校は、去年4月に新しく開校した北海道で唯一の公立夜間中学校です。2年目の今年度は、4月の時点で20人の新入学者を受け入れました。その結果、在籍者は10代から80代までの老若男女105人となり、札幌市内や近郊の市町村から週5日の授業に通っています。

 北海道の学校の夏休みは短く、2学期はきょう(8月21日)、始まります。

時間割の例(同校のホームページより)

 授業は午後5時30分から9時までの3時間30分の間に、休み時間をはさみながら毎日4コマあり、途中、給食の時間もあります。費用は無償で、教材費もかかりません(ただし、給食代=1食300円や一部教材費など必要なものもありますが、これらも事情に応じて支援制度を活用することができます)。夏休みや冬休みがあり、運動会に相当するスポーツ交流会や学芸会に相当する文化学習発表会など昼間の中学校と変わらない行事もあります。しかし定期テストのような試験はありません。生徒はそれぞれの能力に応じて少人数のクラスに分けられます。連絡のための配布物やホームページには、すべての文字にひらがなのルビが振られるなど、文字を読み書きできない人への配慮もなされています。

校長 工藤真嗣教諭

 校長の工藤真嗣(くどう・まさし)教諭は、夜間中学校の必要性を静かに語ります。
 「夜間中学校には、自己肯定感を高めていただく役割もあります。生徒さんの中には年上の方もいらっしゃいますから、教職員はすべての方を『生徒さん』と呼び、対等の立場で接しています。私たちも教えられることがたくさんあるのです。お金がないから学べないということがないようにすることも、夜間中学校の役割です」。