飼料価格の高止まりなどで畜産農家の経営が厳しさを増す中、子牛の取引価格は低迷しています。宮城県美里町で18日、子牛市場があり1頭あたりの平均価格は去年の同じ時期と比べ13万円以上、下落しました。
美里町のみやぎ総合家畜市場には、登米市や南三陸町などの「繁殖農家」が育てた生後10か月前後の子牛およそ400頭が集まりました。会場ではさっそく、1頭1頭競りにかけられました。

ウシを育てる農家は大きく2つの業態に分けられます。生まれたばかりのウシを9~10か月かけて280キロほどの子牛に育てる「繁殖農家」と、競りで子牛を購入し20か月ほどかけて1トン近くの肉用牛に育てる「肥育農家」です。

市場で子牛を購入する「肥育農家」は、ロシアによるウクライナ侵攻に伴う輸入飼料価格の高止まりやコロナ禍から続く枝肉相場の低迷などで経費削減を迫られています。このため、子牛を購入する予算が抑えらているということです。
このグラフは、子牛市場の平均価格の推移を表したグラフです。2021年3月に子牛1頭あたりおよそ83万円でしたが、7月は、56万5000円ほどまで下落しています。

JA全農みやぎ 畑山和夫市場流通課長:
「肉牛が高く売れず肥育農家の収入が減少し経営が厳しくなっていることが背景にある。少しでも(消費者に牛肉を)多く食べてもらい畜産農家を助けてもらうことになるので協力してほしい」

繁殖農家にとって、子牛の価格低迷は安定的な経営を脅かします。
登米市の繁殖農家:
「(価格が)もう少し上がってほしいという気持ちはあるが、これ以上下がらないでほしい。いいウシを残してがんばりどころ」
大崎市の繁殖農家:
「エサ代がウシより高いのでどうにもならない。我慢のしどころ我慢して我慢しきれなくなれば終わりだが、今が一番踏ん張りどころ」

JA全農みやぎによりますと、16日から18日まで3日間行われた今月の子牛市場では1頭あたりの平均価格が、去年8月と比べておよそ13万8000円安い55万8000円ほどで取り引きを終えました。