児童養護施設などで育ち、その後、施設を退所した若者は支援から離れるという意味で、「ケアリーバー」と呼ばれています。5人に1人が「赤字生活」という調査もあり、支援の強化を求める声が上がっています。
関東地方に住む、まおさん(22)。家庭の経済的な事情で、9歳から18歳まで児童養護施設で過ごしました。
猫たちと暮らす理由は…
まおさん
「もともと野良猫の子と引き取った子。親が近くにいなかったので、(自分と)ちょっと似てるなと」
今は施設から離れ1人暮らしをする、いわゆる「ケアリーバー」です。4年前、高校を卒業する18歳のときに施設を退所し、自立するよう求められました。
まおさん
「大人ではなかったので、保証人とかが必要の場合に書く人がいない。(施設からは)たまには頼ってくれてもいいと言われて送り出されるので、本当の家族じゃない以上、全部は頼れない」
契約など、誰を頼って良いのかも分からない状況。しばらくは仕事も見つからず、貯金を取り崩す日々が続きました。
まおさん
「(貯金が)10万円切っている時期もありました。ご飯は一日一食にして節約してましたね。何のために生きているんだろうみたいなことは思っていました」
児童養護施設や里親などのもとで育つ子どもは全国で4万人以上いて、毎年4000人程度が支援から離れる「ケアリーバー」になるといわれています。
厚生労働省の調査によりますと、そのうち収入より支出の多い“赤字の生活”を送っているのは5人に1人。困っていることや不安なことを尋ねたところ、「生活費や学費」が最も多く、33.6%に上りました。
専門家は、「ケアリーバー」にも継続して支援を行う必要性をこう強調します。
認定NPO法人ブリッジフォースマイル 林恵子 理事長
「何でもかんでも全部自己責任でやってくださいは、18歳の子どもにはハードルが高すぎる。最低限の家であったりとか、食事であったりとか、こういったところが保障されるような制度は必要」
まおさんは今、良い職場が見つかり、生活は安定しつつありますが…
まおさん
「施設を出てからかかるお金の補助みたいなのが何かあったらいいなと。やっぱ動物が好きなので、この子たちと一緒に落ち着いて生活していけたらと思っています」
「ケアリーバー」の孤立を防ぎ、支援の手を差し伸べ続けられる体制整備が急務となっています。
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