「成虫を駆除しても木の中に幼虫が…」既に被害木が多数見つかる

今年、鍋田川堤防で被害が拡大している三重県木曽岬町。町では過去に、被害に遭った桜の木を約30本伐採、約1000本の桜の木に薬剤を注入して駆除を目指してきました。しかし、桜並木を管理する木曽岬町・産業課の寺尾匡史主事は、今年は特に危機感を募らせています。
巡視の度にクビアカツヤカミキリの姿を見かけており、今年は既に100匹以上見つかっているといいます。危機感を募らせる理由は、繁殖力にありました。
(木曽岬町産業課・寺尾匡史主事)
「成虫を根絶しても、木の中に幼虫が潜んでいるので、その幼虫が1年2年たって出てくる。大体70本・80本は被害木に数えられる」
そこで町は今年度、樹木医に協力を仰ぎ、約1000万円の予算の中からクビアカツヤカミキリの根絶を目指しています。しかし、現場の木の根元近くを見てみると…。
(東海物産 樹木医・大石浩さん)
「これがフラスといって、(クビアカツヤカミキリの)幼虫のフンと桜の樹脂が混ざったもの」
まるでひき肉のような木のくず「フラス」は、幼虫が幹の中にいて、木を食い荒らしている証です。そこで、木の根元にドリルで約20cm間隔の穴をあけ、幼虫を駆除するための薬剤を注入していこうとしましたが…。
(東海物産 樹木医・大石浩さん)
「ダメや、全然ダメや。(薬剤を)打つ所がない。(Q上の方まで枯れている?)この辺までやられている。違う方法を考えましょう」
この木は、根本から高さ約1.5mにかけて内部が枯れていました。これでは根元に薬剤を打っても木が吸い上げられません。この場合は、幼虫が食べ進んだ上の方に直接、薬を注入します。
食い荒らされた木が“危険木”に!根絶は長期戦…

作業に従事すること2時間。クビアカツヤカミキリの成虫が見つかりました。
(東海物産 樹木医・大石浩さん)
「(Q成虫を見つけたらどうする?)捕まえるしかない。あんな上にいるとなかなか(難しい)」
殺虫剤をかけ続け、木から落下したことは確認。駆除はできたはずですが、落ちた藪を探しても見つけられませんでした。もっと危険な現場もありました。道路横の歩道を歩いていると…。
(木曽岬町産業課・寺尾匡史主事)
「(フラスが道に)たくさんある。(Qこの位置にあるということは上?)真上ですね、届かない」
交通量が多い道路の傍に生える木の太い枝でした。もし、枯れて折れた枝が道に落下すれば、事故を引き起こしかねません。寺尾匡史主事も、危険木となるかどうか樹木医と注視していきたいといいます。
(東海物産 樹木医・大石浩さん)
「なかなか根絶が難しい虫なので、地道に根気よくやっていくしかない。皆さん(桜並木は)喜んでいる所だから、残しておきたい」
静かに広がっている侵略害虫の被害。皆さんの住む地域の公園や道端でも、既に繁殖しているかもしれません。
CBCテレビ「チャント!」8月8日放送より