8月19日(日本時間)に開幕を迎える世界陸上ブダペストで2大会連続メダルを狙う女子やり投の北口榛花(25、JAL)。2022年世界陸上オレゴンでは日本女子フィールド種目で史上初となる銅メダルを獲得した北口。7月16日に行われたダイヤモンドリーグ・シレジア大会では、自身が持つ日本記録を1m以上も更新し、今季世界最高となる67m04をマークした。そんな北口に大会のスペシャルキャスターの高橋尚子が2大会連続メダルへの鍵について聞いた。

高橋尚子:
世界陸上は3回目ですけど、今回は今季世界最高記録であり世界ランキング1位。今までと挑む気持ちが違うのではないですか。

北口榛花:
出来れば気持ちの違いを作りたくなくて努力しているんですけど、ランキング1位にとらわれずに自分は挑戦者であると言うことを忘れないようにしてます。

高橋:
前回の世界陸上は銅メダルでうれし涙。今回は終わった後どうなっていたいですか?

北口:
去年の銅メダルはうれしかったんですけど、ほとんど何がなんだかよくわからないまま喜んでいたので、今回はうれしかったらしっかり自分の感情を込めて喜べるようにしたいと思います。

最終投てきで今季世界最高記録 強さの理由は・・・

今季世界最高記録である67m04は、北口が7月に行われたダイアモンドリーグの最終投てきでマークしたものだ。そして直近の3試合では、いずれも「最終投てき」でその日のベストを出している。

高橋:
なんで最終投てきであれだけ強いんですか。

北口:
最後だから思い切ってやろうと思ってますね、いつも。(日本記録の投てきは)力が全部伝わったと言うよりは、すっと綺麗にやりが抜けたというような投てきで、この投てきは、やりが斜め上に飛んでいくので、その方向に体をしっかり合わせられたかなと思ってます。

日本記録更新の背景に「助走」の変更

日本記録をマークしたビッグスローにはシーズン中のある変化が関係していた。

北口:
足踏みでスタートするようになりました。

以前の北口はやりを投げるための助走の際、ピタリと止まった状態からスタートするスタイルだったが、現在は、「その場で何度か足踏み」をしてからスタートしているという。

北口:
私の助走には、やっぱりちょっとリズム感が必要なんですけど、どうしても立ち止まったところからスタートすると、スピードを出すのに力も必要になりますし、足踏みしてることで、走り出す前にもリズムがあって、その延長上で走れるというのと、最初から猛ダッシュしなくてもある程度スピードがつくので、組み立てやすくなりました。

北口が目指すのは更なる日本記録(67m04)の更新だ。それが現実となれば今年の世界陸上でのメダルも見えてくる。

北口:
先月の日本記録の時よりも、もっとよい条件がそろえば、もっと投げられるチャンスはあるんじゃないかなと思ってます。

「お客さんにたくさん盛り上がっていただけたら、もっと気合いが入る」

高橋:
北口さんが思う日本新記録が出る条件は?

北口:
まず、自分の体がある程度フリーで動きやすい状態であること。出来れば天気は晴れてもらって、追い風の方が自分は得意なので、追い風が良くて、あとはやっぱりお客さんにたくさん盛り上がっていただけたら、もっと気合いが入るかなと思います。

その他には、気温25度、反発のあるトラックを理想の条件として挙げた北口。

北口:
今回の世界陸上ブダペストでは、メダルを持って帰ってくることを目標に、出来れば決勝で少しでも日本記録をまた更新できたら良いなと思ってます。

【取材後記】
世界陸上で北口さんのベストが出れば日本記録も十分考えられます。なんと言ってもシーズン中に助走を変えて結果に結びついたり、1投目から徐々に修正をかけて6投目で見事な完璧な投てきに結びつける。その変化への対応力、修正能力は本当に強いなと感じました。あとはやっぱり理想の条件が①良い体の状態②晴れ③気温25度④追い風⑤反発のあるトラック⑥観客の盛り上がりと6つありましたけど、条件がそろって日本からも熱い応援を届けてもらえたら良いなと思います。

世界陸上ブダペスト スペシャルキャスター 高橋尚子

【女子やり投】
■予選
23日午後5時20分~
■決勝
25日午前3時20分~

(日本人選手の出場予定)
斉藤真理菜、北口榛花、上田百寧