「幸せは人それぞれ」リング外で感じた違和感
――アメリカやイギリスで男女の試合を組むという流れはどこから生まれてきたのですか。
里村明衣子氏:
昔から当たり前のように男女が試合したりしているんです。でも、昔の試合は女性はとてもきれいで、モデル体型のような人がマネージャー役で登場するような形で、女性にはあまり技を仕掛けられないという試合でした。私が男性が同じ力で攻撃しても耐えられる体を作っていたので、対等に試合できるようになったというのはあります。
――里村氏自身のレスラーとしての鍛え方や経験がジェンダーの壁を崩した?

里村明衣子氏:
向こうでは当たり前のように、男女一緒に練習します。女性は女性の人気がありますし、男性は男性の強さと人気がありますし、それを融合させるのがすごくうまいんですよね。会社でもそうだと思うのですが、その人その人の特性が必ずあると思うので、そこを活かしていかにバランスよくやっていけるかというところが大事だなと思います。
――里村氏の話を聞いて、配慮した役割分担は逆に相手を傷つけたり、相手の能力を引き立てないままに終わってしまうこともあるのではないかと思った。
里村明衣子氏:
潰しあいではなく活かしあいというのはそこだと思います。女子プロレスは女だらけの世界でもあるので、ジェラシーとか自分よりも抜きん出る後輩がいようものならマウントを取るということもよくあります。そうではなく、私たちの会社は各人の特性を生かすところを考えるようにしています。
――リングの外で感じたジェンダーを巡る課題とは?
里村明衣子氏:
男女の関係というよりは、私は今の時代、小さな差別はたくさんあるなと思って。例えば私は40歳過ぎて独身で子どもがいない。例えば営業で70歳、80歳代の会社の社長に「43歳になりました」と言うと、「親は諦めたか」と言われるんです。そこに対して私は「私、十分幸せですよ。自分でやっていることに自信があるので」という考えですが、もし本当に悩んでいる40代の女性がそういうことを言われたら絶対傷つくだろうなと。選択肢はいっぱいあるから、その人が幸せならいいと思うんです。
女子プロレスラー・里村明衣子氏インタビュー
後半は「今どきの若手の指導方法」を語る!
(BS-TBS「Style2030 賢者が映す未来」2023年8月20日放送より)