この夏も連日のように報道される、甲子園やインターハイの熱闘。メディアでは「勝利の喜び」や「部活動のやりがい」を数多く報じています。しかし私たちメディアは「勝利という光」ばかりに目を奪われてこなかったか…。そんな自責の念に強く駆られた悲劇が、2021年1月に起こりました。
なぜ男子生徒は命を絶つほど追い込まれたのか―
金城弘昌 県教育長(当時・2021年3月)
「誠に申し訳ございませんでした」

2021年1月、沖縄県立コザ高校の運動部で主将を務めていた、当時高校2年の男子生徒(当時17歳)が自ら命を絶ちました。
当時コザ高校は、沖縄県高校総体の総合優勝10連覇を果たし、メディアも度々取材に訪れるスポーツ強豪校でした。スポーツが盛んな高校だけに、体育祭といった学校行事も毎年盛大に行われ、そんな学校の雰囲気が、私自身大好きでした。
まさか、この学校のスポーツ指導によって、命を落とすほど苦しんでいる生徒がいたとは、つゆ知らず―
男子生徒の死を受け、沖縄県教育委員会は第三者調査チームを設置し、2021年3月に自殺の要因は「部活動、とりわけ顧問との関係によるストレスの可能性が高い」という調査結果を公表。
男子生徒に対して、男性顧問から「キャプテンを辞めた方がいい」など精神的負担となる言葉があったことなどが報告されました。
しかしこの調査については、第三者委員自身から「指定された調査期間は著しく短い」と批判が上がるなど調査の不備が指摘され、遺族や保護者の有志は“再調査”を求める陳情を沖縄県議会に提出。

県議会は再調査を求める決議を全会一致で可決し、2022年1月に県は第三者“再調査”委員会を設置しました。今も再調査が非公開で行われていますがその調査は、当初の予定より遅れています。










