シリーズ特集『カメラマンが魅せられた風景』。
今回は新潟県十日町市の棚田が見せる絶景と、それをつなごうとする人々の思いです。
ブナの新緑がまぶしい十日町市の美人林。
3メートルを超えていた雪もほとんど解けた4月の終わり。松代地域の儀明(ぎみょう)集落には、この時期にしか見られない絶景を求めて全国各地から多くのカメラマンが訪れていました。

【奈良から来た男性】「奈良です。何回か来ているが、なかなか満開の時期に合わなかった」
蛇腹式の大判カメラも登場。
【群馬から】「原板が化学変化するので無限の色合いになると言われている。1枚3000円以上。現像は大体2000円ぐらい。これだっていう時じゃないと出さないです」
棚田の水鏡に映りこむ山桜。

【茨城から来た女性】「自分もやっていたことがあるから、田んぼ。苦労はわかります。棚田のここで作物作る苦労はね。あぜの草刈りとか大変だろうなと思いながらいつも見せてもらっている」
今年、棚田地域の振興に関する取り組みが評価され、松代から7地区が「つなぐ棚田遺産」に認定されました。

中でも特に有名なのが星峠の棚田です。
この日もたくさんのカメラマンたちが朝日を狙っていました。
【東京から来た女性】「東京です。3時半ぐらいから(待ってました)。来てよかった」

【栃木から】「最高の景色ですよ。ここは有名な所だからね。皆さんが撮った写真を見てますがね。そうすると“私も撮りたい自分の手で”。見てくださいよこれ、最高だよ。光芒(こうぼう)が少し入ってますがね」

空から放射状に降り注ぐ太陽の光『光芒』。
この地域の棚田は雨水や湧き水、雪解け水に頼った天水田です。
貴重な水が張られた田んぼが朝日を浴びて輝く姿。神々しさを感じます。

【東京から】「谷間が幾重にも重なっていてそこから派生する雲海と、山々からちょこっと出てくるその瞬間、都会にいたら絶対に味わえない空気・のどかさ・癒し。そういうことが力をくださる場所。精神的な栄養剤だからおコメを植えているんじゃない。人々の力の糧を植えているんだと思う」

美しいだけでなく、癒しや安らぎも与えてくれる棚田。
しかし、高齢化が進み、守ることが難しくなっています。そんな時立ち上がったのが、東京の外資系不動産投資会社で働いていた阿久澤さんです。