きょう(7日)開かれた笠岡市議会の臨時会で、議員の報酬を引き下げる2つの条例改正案が上程されました。このうち市民団体が提案した案は否決され、議会の4つの会派が提案した案が可決されました。

市民団体の多くのメンバーも傍聴に訪れた笠岡市議会臨時会では、市議の月額報酬50万円を45万円に引き下げる2つの条例改正案について審議されました。

議会は、前回の選挙後に「議員のなり手の確保につなげたい」と報酬を42万円から50万円に増やしていました。

これに対し、市民団体が「他の自治体に比べて報酬が高い」として、地方自治法に基づく直接請求に必要な署名を集め、

報酬を45万円に下げる条例改正案を提案しました。

(特別職報酬等審議会の答申どおりの議員報酬を求める会 柚木義和事務局長)「まじめな市民の声が生かされる、そういう市政にしたい、そういう思いの一点からの請願であります」

これに対し議会側も市民の提案に合わせる形で、4つの会派が報酬引き下げの条例案を提案しました。

(笠岡市議会 天野喜一郎議員)「我々は条例でもう、45万円を上限として決めようじゃないか。その趣旨が違うと思うんです。だから我々の考えでよかったと思っています」

「報酬引き下げ」という同じ内容の条例改正案でしたが、採決では市民団体側の提案は否決され、議会側の提案が可決される結果となりました。

議会側が市民団体の提案を否決したのは、議長と副議長の報酬額などに訂正が必要であったことなどを理由としました。

(笠岡市議会 天野喜一郎議員)「きちっとしたものをいつも出していただきたいと。議案の提出のやり方に対して不満があったというか疑義を申し上げた」

(特別職報酬等審議会の答申どおりの議員報酬を求める会 柚木義和事務局長)「本来の私どもの目的というのは、実施時期やいろんな思いというのがありますが、実現したというふうに感じています」

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VTRの中で出てきた「直接請求権」とは、地方公共団体の住民が地方の政治に直接参加できる権利です。一定数以上の住民の署名を元に議会などに条例改正や監査、首長や議員の解職などを請求することができます。

笠岡市の有権者数は今年6月1日時点で3万9302人。条例改正の直接請求権は、有権者の1/50の署名を集められれば可能になるので、法定数786人を超える1603人分の有効署名を集めた市民団体は、笠岡市に直接請求できたというわけです。

議会側の改正案で、報酬の削減は10月から行われることになり、結果的に市民の反対運動が地方の政治を動かしましたが、市民による「直接請求」での条例改正を避けたとも言えそうです。