共和党の候補者は、自分が勝つためにもトランプ前大統領を批判できず

ホランキャスター:
萩谷さんは、弁護士という立場からこのトランプ前大統領の状況をご覧になると、どうお考えでしょうか?

萩谷麻衣子 弁護士:
仮にトランプ氏が大統領選挙で当選して、その後有罪になって収監されたとしても、刑務所の中から大統領の執務ができる可能性があるということで、やはりアメリカというのは、民主的に選ばれた者の地位をものすごく尊重する国なんだなと、裏返せば思います。

であればこそ、今回のトランプ氏の3回目の起訴は、民主主義を妨害しているという意味で非常に大きなことだと思います。

ただ、共和党の予備選でも、もしトランプ氏が負けたとしても、(トランプ氏は)「ほかの候補者が勝ったのは虚偽である」とか「フェイクである」とか言う可能性があります。共和党の中でも、あまり穏やかではないところがあるのではないでしょうか。

小谷哲男 明海大学教授:
そうですね。やはりトランプ氏の支持者が共和党のかなり大きな支持基盤になっていますので、トランプ氏を批判するようなことを言ってしまうと、共和党の中の予備選で勝てないということがありますから、トランプ氏をどうしても批判できないというのが今の共和党の中です。

ペンス氏は唯一、自分が副大統領時代にかなり脅されたのでトランプ氏を批判していますが、そう意味でもペンス氏は勝つ見込みがないということになってきます。

萩谷麻衣子 弁護士:
ほかの候補者は自分が勝ちたいけれども、勝つためにもトランプ氏を批判できないという状態に?

小谷哲男 明海大学教授:
トランプ氏を批判できないし、もし批判しすぎてトランプ氏が共和党を出てしまうと今度は保守票が割れてしまうので、共和党は永久に勝てないということになってしまいます。

井上貴博キャスター:
短期的には確かにトランプさんを利する、でも長期的にはどうなるかわからない。いずれにしても分断が進むわけじゃないですか。

共和党はトランプさんに頼るしかない。アメリカ全体がもう、トランプさんかバイデンさんしかいない。この状況はより深刻な気がするのですが、ほかに出てくる人がいないという…。

小谷哲男 明海大学教授:
ほかに出てくる人がいないのは、やはりトランプ氏のキャラクターが強すぎて、それを乗り越えられる人が共和党にいないということですね。

それから、民主党は誰が出てもトランプ氏の格好の批判の対象になってしまうので、それを覆すことが難しいというのが現状です。

井上キャスター:
アメリカがひどいというよりも、トランプさんがそれだけ強いと?

小谷哲男 明海大学教授:
トランプ氏のキャラクターは非常に強いですね。