1日から始まった長野県のパートナーシップ届出制度。
男女のどちらにもあてはまらない「Xジェンダー」を自認する安曇野市の石田悠真(いしだ・ゆずま)さんは、社会が変わるきっかけになるとして歓迎しつつ、県全体に違いを受け入れる意識が、もっと広がってほしいと話しています。

■石田悠真さん
「多様な性の人たちが祝福されるというか、認められる社会になるきっかけになる。パートナーシップが制定されることっていうのは、社会が変わる“音”としては一つ切り口として素晴らしいことかなと感じます」

こう話すのは、安曇野市に住む石田悠真さん26歳。

男女のどちらにもあてはまらない「Xジェンダー」を自認する石田さんは、子どものころから「生きづらさ」を感じてきました。

■石田悠真さん
「男女二元論というか、そういったことになった時にすごく窮屈とか、疎外感というか、なんで自分は自分らしく振る舞いたいのに男女という垣根で分けられなきゃいけないのかみたいなところはすごく思っていて」

男性らしさを感じる本名で呼ばれることにも抵抗があり、大学への進学を機に、自分らしいと思える「ゆずま」という名前を名乗るように。

今は、自らの経験を共有したいとマイノリティーのためのフリーペーパー「hanpo(ハンポ)」の発行に携わり、ジェンダーや障害、不登校など様々な悩みを抱える人たちの思いと向き合っています。

■石田悠真さん
「いろんな人と出会ったりとか、その中で私もこの生きている姿とか、ありのままで過ごしてる姿みたいなのを祝福されているからこそ、自分もその半径3メートルの人にその気持ちを届けるみたいなことをしたいなと思ってて」

多様性を尊重しようという動きは、自治体でも。

石田さんの住む安曇野市では2022年、県内で初めて、性的指向や国籍などによる差別の禁止を、条例で明文化しました。

■石田悠真さん
「世界からすればかなり遅れていると思うんですけど、自治体としてそういう取り組みがある。それを動き出そうとしてるっていうところは、めちゃめちゃポジティブに感じていますね」

ただ市の条例も県のパートナーシップ制度も、あくまで1つの“きっかけ”。

違いを受け入れる意識が、長野県全体にもっと広がってほしいと、石田さんは話します。

■石田悠真さん
「知る機会がなかったから、無意識のうちに傷つけてしまうということが当然あると思うんですね。こういう人がいるんだっていうことを知る機会が大事だと思うので」