スタッフは全員耳が聞こえない「ろう者」手話でのやりとりが好評 売り上げ4倍に

週末、名古屋駅前で行われていた、バウムクーヘンのワゴン販売。期間限定で店を出していたのは、愛知県犬山市の「バウムクーヘン」専門店「ココトモファーム」です。

次々にお客さんが足をとめて、バウムクーヘンをかごの中に入れます。

もちもちとした食感の「ハードバウム」に…見た目もかわいい「縁バウム」も人気です。

材料は地元犬山産のお米でできた米粉100%。グルテンフリーの健康志向だけでなく、おいしさでファンを増やし、約3年で愛知県内12店舗を構えた超人気店です。

しかし、ただの人気店ではありません。

信号の音、車のエンジン音、街行く人たちの笑い声。

駅前の喧噪の中…お店の中だけは静かです。

その理由は、ここで働くスタッフは全員耳が聞こえないから。

お客さんが注文するときは「指さしメニュー」を使います。あらかじめ、予想されるお客さんからの質問をリスト化し、番号をつけています。

お客さんが番号を指さすだけで、スタッフは筆談で細かい質問に答えてくれたり、
注文に対応してくれたり…これなら手話が分からなくても、大丈夫そうです。

(客:メニューを指さしながら)
「ソフトバウムとハードバウムどちらが人気?」

(スタッフ:筆談)
「ハードなら玄米、ソフトなら白米」

手話を使える人は、スタッフとの会話を“静かに”楽しめます。

(客:手話)「あした、彼氏の誕生日なんです。買ってあげようかなと思って」

(スタッフ:手話)「おめでとう。ハードバウムは若い子に人気、ソフトは子どもやお年寄りに人気だよ」

交わる機会のなかった人々が、ここでは距離が一気に近づきます。お客さんにも「注文がしやすくなった」「手話での会話が楽しい」と好評で、売り上げは、健常者のスタッフが売った時の4倍になりました。

(手話を使った女性客)「より丁寧に話せる感じがして、手話はいいこともあるんじゃないかなと」

(指さしメニューを使った男性客)「心がこもっているなと思って、全種類買っちゃいました。本当は1種類しか買わない予定だったのに」