若年女性3人に1人が“抑うつ”。ウクライナ侵攻など戦争報道でメンタルヘルスが悪化する「共感疲労」を感じている人が増えているという調査結果が発表されました。自宅でできる“セルフケア”とは。

■「ニュースを見るたび辛くなります」ウクライナ侵攻後、相次ぐ相談


オンラインのチャットで悩み相談に応じるNPO法人「あなたのいばしょ」。24時間365日、誰でも無料で利用することができます。

相談は“コロナ禍での悩み”や“人間関係”など様々。ただ、この数か月は、こんな内容が…

「ウクライナでは生きたい人が死んでいるというのに…」
「ニュースを見るたびに辛くなります」


ロシアによるウクライナ侵攻後、その報道を見た人からの相談が相次いでいます。


NPO法人 あなたのいばしょ 担当者
「『報道を見て気持ちが不安になってしまったので話を聞いてほしい』という方のご相談は増えています。チャットを通じてお話をまずは聞く。不安な気持ちとか、悩んでいることに対して寄り添いの言葉をかけていくということで少しずつ気持ちが収まっていってもらえればいい」

災害や戦争など悲惨な出来事の報道によって、人々がメンタルヘルスを悪化させる現象を「惨事ストレス」、あるいは「共感疲労」といいます。今週、国内で初めての調査結果が発表されました。

社会調査支援機構チキラボ 荻上チキ所長
「今回の調査で1つ焦点を当てたのは『惨事ストレス』及び『惨事報道ストレス』と呼ばれるものです。大まかにいうと3人1人が抑うつ感覚を得ているというのが、いまの若年女性の状況だということになります。」


今回の調査では、気分が落ち込むなどの「抑うつ」を感じた人は、ウクライナ侵攻前と比べて、60歳以上の女性で、およそ2倍上昇し「12.5%」。40歳未満の女性も「35.1%」で高い割合となりました。一方、男性と、40歳から59歳の女性については、大きな変化はみられませんでした。

街で聞いてみると…

女性(19歳)
「(戦争の映像を)見るのはすごく嫌だなって。嫌だっていうか辛い」

女性(66歳)
「今はウクライナのことが、戦争が日常的になってしまっている感じで。日常的になっていることが怖くもあるしストレスでもあります」

男性(22歳)
「ロシアもやっぱり隣なので、明日は我が身というか、若干不安な気持ちになったりします」

調査を行った荻上チキさんは、戦争報道について…

社会調査支援機構チキラボ 荻上チキ所長
「(戦争報道は)知る権利にも通じるものですし、この社会をどういうふうにしていけば良いのかという民主主義の根幹にも関わるので、そうした戦争に関する報道や災害に関する報道など、見ないでくださいということが必ずしも答えということでは無いわけですね。なので簡単に惨事報道の(見る)量をコントロールするか、惨事報道に触れた後にセルフケアを行うかどちらかが重要かと思います」