10年前、山口県周南市の山あいの地区で男女5人が殺害されました。この事件の現場近くで花を植える活動をしている男性がいます。

事件の現場からほど近い「オープンガーデン金峰の里」です。

周南市金峰出身の男性:「10年っていうのは、ある意味節目だと思うんですね。そういった暗い過去を引きずるんじゃなくて、次の未来に向かってこの地区をどうしていくかっていうほうをね」

2013年7月21日。周南市の山あいにある金峰地区で、住宅2棟が全焼し、焼け跡から3人の遺体が見つかりました。翌日には近くの2軒の住宅から、それぞれ1人の遺体が見つかり、その後、同じ地区に住む男が逮捕されました。衝撃的な事件の発生・・・静かな集落のようすは一変しました。


殺人と放火の罪に問われ、最高裁で死刑判決を受けた保見光成死刑囚。再審を求める弁護団は去年12月、最高裁に特別抗告をしたということです。

地区を庭に見立てた「金峰の里」。多くの人に訪れてもらいたいと、住民らでつくる「防長の吉野をつくる会」が3年前から取り組んでいる活動です。1994年に発足したこの会で活動する男性が、取材に応じました。被害に遭った5人も会の仲間で、生きていたら、いまも一緒に花を植える活動をしていただろうと話します。

周南市金峰出身の男性:「(5人が生きていたら)ここも、彼らが住まわれていたところもやっていたと思うんですけど」

被害者の家があった場所にはサクラの木が植えられています。

周南市金峰出身の男性:「そのサクラが咲く4月に、花が咲いたときに、彼らは笑っているんだよと。私たちはあなたたちのことを忘れませんよと。だから、あなたたちも上の方からですね、優しく見守っていただきたいなという思いで」 

サクラは亡くなった5人と同じ数をこの男性が植えました。小さな苗木に花が咲くまでには、まだ時間がかかりそうです。痛ましい事件から10年・・・男性はこのような残念な出来事が二度と起きてはならないと語っていました。