福井県の海水浴場に連日、イルカが出没し、けが人も相次いでいます。イルカはなぜ人に襲いかかるのか、また、どう身を守ればよいのでしょうか?

福井県美浜町の水晶浜海水浴場。真っ白な砂浜が広がり、関西や東海地方からも多くの人が訪れる人気のビーチですが、今年、ある異変が起きています。

「イルカが目撃されています。刺激するとかまれたり、海中に引っ張られたりする可能性がありますので、ご注意ください」(海水浴場のアナウンス)

「毎日出ている。(両手では)とても収まらない。2メートル以上あるのではないか」(監視員の男性)

17日も砂浜で取材をしていると、野生のイルカが現れました。赤いキャップの男性が必死に岸へ戻ろうとしますが、イルカはそばを離れようとしません。

浅瀬に近づいた後、今度は浮き輪で泳いでいた男性に体当たり。わざと人に向かっているようにも見えます。

イルカにかまれた男性は「(イルカは)腕をかんだけど、本気ではかんでいない。ただ岸に落ち着いてたどり着かないといけないなと思った」と話していました。

(視聴者提供)

この海水浴場では16日早朝、岐阜県の60代男性にイルカがぶつかり、男性はろっ骨を折る大けがをしました。その後、別の男性3人もイルカにかまれるなどして軽いけがをしています。

イルカの映像を、坂井市にある越前松島水族館の館長に見てもらうと…

「これは怖いでしょうね…。年齢、大きさ、その他は分かりませんが、顔の特徴から見てミナミバンドウイルカではないかと」(越前松島水族館・松原亮一館長)

なぜ野生のイルカが人に襲いかかるのでしょうか。

「遊びもあるでしょうし、攻撃もあり得ると思う。今ちょうど繁殖期に入っている時期なので、生殖行動、繁殖行動の一環もあるかもしれない」(松原館長)

松原館長によりますと、たとえイルカが遊んでいるつもりでも、かみつかれたりぶつかられたりした人間は、大けがをしたり、時には死に至る危険もあるといいます。

「対処方法は1つだけ、水から上がる。速やかに水の中から出て、完全にいなくなるのが分かるまでは水の中に戻らない」(松原館長)

イルカの被害が出ているのは福井県だけではありません。石川県加賀市の片野海岸では、2022年9月、30代の男性がイルカに遭遇し、手足をかまれました。

(視聴者提供)

男性をかんだのはミナミバンドウイルカで、今回と同じ個体の可能性もあるということです。

警察などは、イルカを見かけたら、海から離れるよう呼びかけています。