有光さんが追い払うと、山へ戻り、その後は人目につくところには来ていないといいます。

「野生鳥獣専門員」と相談しながら対応できることについて、有光さんは、「ハンターにとっても、意義がある」と話します。
「その個体がどういう理由でそこにいるのかが、危険性の度合いに影響するんだと思う。単発的に駆除をするなら、ハンターだけでもできるかもしれないけれど、継続的に理論立てて対応していく上で、野生鳥獣担当がいるのは重要」
そのクマが、なぜそこに来たのか。
それによって、追い払えば解決するのか、引き寄せている原因があってそれを取り除けばいいのか、緊急の危険性があって駆除をすべきなのか、取るべき対応が変わってきます。
出没理由を考えるためには、住民が行政にくわしい目撃情報を寄せてくれることも必要ですし、担当者がすぐに駆けつけて痕跡を調査したり、過去の調査結果を蓄積しておいて、その都度見比べて分析することも必要です。
ハンターは地域で頼られることの多い存在ですが、クマの出没対応はあくまでボランティア。出動するかや、発砲するかは、行政や警察が責任を持って判断します。
しかし、通常の公務員は数年ごとに異動があるため、専門性を育てる難しさがあります。
占冠村のように、役場職員として「野生鳥獣専門員」を雇っていることは、全道でも先進的な事例です。