戦争と平和など社会問題をテーマに語る講談師・神田香織(かんだ・かおり)さんが長野市の松代大本営の地下壕を訪れました。

神田さんは11日、主宰する講談サロンのメンバーとともに、松代大本営の象山(ぞうざん)地下壕を見学しました。

神田さんは戦争や平和などをテーマに語る社会派の講談師として知られ、広島の原爆を描いた漫画「はだしのゲン」や沖縄戦の悲劇も講談にしています。

敗戦が濃厚となった1944年11月から翌年の終戦まで、6000人ともされる朝鮮人や日本人が工事に動員された松代大本営の地下壕。

事故や栄養失調などで多くの労働者が亡くなりました。

硬い岩盤に削岩機で穴を開け、爆破する作業は「24時間掘り続けて2メートルほどしか進めなかった」といいます。

神田さんは、当時の過酷な状況を語るガイドの説明に、熱心に耳を傾けていました。

■講談師・神田香織さん
「冷たい岩肌に触ったりすると本当にこの場所で78年前に大勢の人がここで過酷な労働を強いられ、けがをしても治療させてもらえず犠牲になっていったんだなというふうなことも考えましたし、本当にもうつらくなりましたね」

神田さんは、松代大本営の歴史も語り継いでいきたいと話します。

■講談師・神田香織さん
「知識をもっと膨らませていって、それを自分の言葉にして語り継いでいって、それを聞いた方が、やっぱりこれはいけないよね、戦争ってのは最大の人権侵害だよねということを本当に感じていただいて」

神田さんは12日には、戦没画学生の作品を展示する上田市の「無言館(むごんかん)」も訪れたということです。