「誰かに相談していれば…」介護の末に“妻殺害”

藤原被告
「家内の体調がおかしくなって…その時に誰かに相談していればこうならなかった。息子には精神的・金銭的な負担をかけたくなかったし、ケアマネージャーにも相談しなかった」

証人として出廷したケアマネージャーは、「被告はいつからか『介護を自分でやらないといけない』という強いこだわりを持ち、照子さんを所有物化していったと思う」と証言しています。近所の人も藤原被告の“異変”を感じ取っていました。

近所の人(去年11月)
「怒鳴り声は聞こえた、相当大変そうだなと感じた。今年になってそういうケースが2、3度あった」

検察側は「事件の直前、藤原被告が照子さんの顔を殴り、首を絞めるなど暴行していた」と指摘しています。周囲はこうした状況に気付き、照子さんを施設に入所させる手続きを進めましたが、藤原被告は「心中」を決意したといいます。

藤原被告
「彼女を突き落として何で自分がのうのうと生きているんだろう」

照子さんは海に落とされる直前、「いやだ」と大きな声を上げ、それが最期の言葉でした。

記者
「照子さんに対して、今何を思う?」

藤原被告
「ただ家内の冥福を祈るだけです。解決するわけじゃないけど、もういないんだから」

そして、机に手をつき目を閉じました。

藤原被告
「こうやって心の中でね、逮捕されてから200日くらいになるけど、毎日祈っています。反省しても反省しても反省してもどうしようもない…。介護を40年やることは普通のことだよ。それを最後に殺してしまった。大ばか者がやることですよ」

40年の介護の末に起きた殺人事件。11日の論告で検察側は「介護に追い詰められたのではなく、被告の自己中心的な犯行だ。典型的な介護疲れとは異なる」などと指摘し、懲役7年を求刑しました。

「最後に言いたいこと」を問われた藤原被告は、嗚咽まじりに泣き、大きな声で「照子、申し訳ない」と述べ裁判は結審しました。判決は今月18日に言い渡される予定です。