大分県に“蝋管”を再生できる蓄音機が! 漱石の声は聴けるのか?

フィルムなど古い映像の保存・アーカイブなどに取り組む岡山映像ライブラリーセンターです。

(岡山映像ライブラリーセンター小松原貢アーカイブ担当「『京の四季』とタイトルが書いてありますね、唄いか三味線か、琴かもしれませんけど。聞いてみないとわからない」

RSKでは康晴さんから漱石の声を録音した時代と同じ時期に音楽などを収録したとされる別の蝋管を預かり、再生できないかを試みました。蝋管から型をつくり複製を作成したものの、残念ながら完全に再現するまではできませんでした。

(岡山映像ライブラリーセンター小松原貢アーカイブ担当)「ほとんど溝がないので、これを再生機にかけてみても、音がでないんじゃないかな。これ以外の方法が何かないのか…」

RSKでリサーチを進めていくうちに、「大分県の由布市に今でも蝋管を再生できる蓄音機が残されている」との情報を得て、取材班は現地へ向かいました。

蓄音機の専門店を営む梅田英喜さんです。

梅田さんは、本業の傍ら東京大学の総合研究博物館で蓄音機の修理やメンテナンスなどを手がけています。

RSKで預かっている「蝋管」の状態を見てもらうと…

(梅田英喜さん)「溝らしきものが見えなくもない」

「これはほとんどカビに食いつくされている感じがしますが、何が聴こえるかは分かりませんが、再生してみますか」

RSKが預かっている「蝋管」を蓄音機に掛けてみることに…
果たして音は聴こえるのでしょうか?

(ノイズ)「ザー・・・・」

約2分の再生時間、声や音楽などの音を聴くことはできませんでした。

(梅田英喜さん)「何も痕跡はありませんでした」

2本目の蝋管も蓄音機に…

やはり何も聴こえず…

(梅田英喜さん)「極めて音が聴こえる可能性は無いと思います」

「今回の2本がこのような状態で、漱石の声だけが特別に残っているというのは非常に考えにくいので、やってみても同じ結果でしょうし」

「レーザーによる読み取りとかの領域を超えて、もう無理だと思います」

残された可能性について梅田さんは…

(梅田英喜さん)「もう50年後のテクノロジーじゃありませんけど、再生できるかもしれませんが、ロマンとしてずっと保存されているほうが夢があると思います」

夏目漱石の声が記録された「蝋管」。果たして漱石はどのような声なのか?いつか聴こえるその日までロマンは膨らむばかりです。