“クラスター弾”の殺傷能力とは

小川 彩佳キャスター:
アメリカがウクライナに供与を決めた、NATOの中でも賛否がわかれるクラスター爆弾、これはどのようなものなのでしょうか?

山本 恵里伽キャスター:
このクラスター爆弾はミサイルのように地上から発射される場合と、戦闘機から、上空から投下される場合とがあるということです。一つの大きなこの親爆弾の中には、子爆弾と呼ばれる小さな爆弾がたくさん入っています。

子爆弾は、500ミリ缶を少し長くしたような大きさです。子爆弾が一つの親爆弾の中に200個ほど入っているものもあります。この子爆弾が上空からばらまかれるという仕組みになっています。

そしてもう一つ見ていただきたいのが、実際に2002年にアメリカ軍がアフガニスタンで使用したクラスター爆弾の残骸です。

筒状のものは、爆発の衝撃で変形してしまっています。プロペラのようなものがあり、特に注目していただきたいのは、板チョコのようになっている鉄の塊です。細かい溝がたくさんありますが、この一つ一つの鉄の破片がばら撒かれる。散らばることによってかなり高い殺傷能力ということが伺えます。

小川キャスター:
これ全て粉々に割れますと1センチ四方にも満たないような形の破片が超高速で拡散されます。

去年5月JNNはウクライナの街、ロシア側のクラスター爆弾が落とされた街を取材しています。その映像を見ると、壁に無数の穴が開いているのが確認できます。瞬時にこうして壁をえぐってしまう、こういった残虐性そして無差別性というのを確認することができます。

山本キャスター:
親爆弾一つでサッカー場3面分ほどの殺傷能力があるとも言われていますね。

もう一つ、このクラスター爆弾には問題点があります。不発弾の多さなんですよ。なぜ問題なのか、地雷のように、不発弾がその土地に残ってしまって、市民の方を長年にわたって危険にさらすことになってしまうんです。

こうした性質から、2008年にこのクラスター爆弾の製造や使用を禁止するオスロ条約、2008年のものですが、こちらにイギリス、フランス、日本など111カ国が加盟をしている、署名をしているわけです。

ですが、アメリカ、ロシア、ウクライナは署名をしていないんですね。

小川キャスター:
小さなお子様含め一般市民の方々にも危険が及ぶ可能性がある、極めて非人道的な兵器としてロシアが使用した際は大変な批判を集めましたが、その兵器をなぜウクライナが今使用しようとしているのか。

防衛省防衛研究所 兵頭慎治さん
「一気に広く攻撃をしたい」
「(ウクライナ側の)砲弾不足」

小川キャスター:
各国がクラスター爆弾の提供に反対を示している中で、アメリカはNATO首脳会議で過去からの理解を得られるでしょうか。

TBSスペシャルコメンテーター 星浩さん:
イギリス、カナダは反対を表明していますが、アメリカはかなり早い段階から根回しをして、バイデン大統領もアメリカの議会に対しても根回しを進めているので、決定的な対立にはならないと思います。
ただ、このクラスター爆弾というのは面的にロシアを押し返す力はあっても、戦況を一気に変えるまでには至らないと思います。

小川キャスター:
クラスター爆弾を巡る条約には日本も加盟していますが7月10日、松野官房長官は…
「米国・ウクライナ2国間のやりとりであり、我が国としてコメントは差し控えたい」

日本の対応はどうでしょうか。

星浩さん:
日本もこの条約に入ってるわけですからクラスター爆弾の使用は反対だと、岸田総理は明確にすべきだと思います。最終的にはバイデン大統領の判断になると思います。