核兵器を全面的に禁止する核兵器禁止条約が採択されて7日で6年となるのに合わせ、長崎市では被爆者らが集会を開き 日本政府に条約への参加を求めました。
専門家に、条約をめぐる現状と今後の展望をききました。
被爆者「6周年おめでとうと言えない」

被爆者 城臺美彌子さん(84):
「本当は(6周年)おめでとうって言いたいんですけど、全くその気持ちが私には浮かんできません」


『核兵器禁止条約の会 長崎』が開いた集会には、被爆者や、被爆二世らが参加しました。

核兵器の開発や、保有、使用、威嚇など、全面的に禁止した核兵器禁止条約は、6年前に採択され、2021年1月に発効。

2023年1月時点で68か国が批准していますが、核保有国と日本など核の傘にある国は参加していません。
ロシアのウクライナ侵攻で高まる “核抑止論”

長崎大学核兵器廃絶研究センター 中村桂子 准教授:
「署名・批准のペースは、今、国際的に遅いと、遅れているという印象はもっています」

長崎大学核兵器廃絶研究センターの中村桂子准教授は、ロシアのウクライナ侵攻を機に “核抑止論が高まる” など、核軍縮をめぐる後退が条約の足かせになっていると指摘します。

中村桂子 准教授:
「核軍縮に対して大きく逆風が吹き荒れてですね、前に進まない、なかなか各国、核兵器禁止条約に向かって前向きに進んでいこうという議論が起きづらいという(状況)」

2022年6月、条約参加国による初めての会議が、オーストリアのウィーンで開かれ、条約の中身をどう実行していくかや、参加国をどう増やしていくかを盛り込んだウィーン宣言と行動計画が採択されました。

2023年11月には、アメリカ・ニューヨークで2回目の締約国会議が開かれる予定です。
中村桂子 准教授:
「2回目までにこれを報告するとかですね、こういったことを調査するっていうかなり細かいことがそのロードマップの中で決まっていますので、そうしたものの情報が集められていって、更に前に進むためにはどうするかといった、具体的かつ細かい議論になっていく可能性は高いかなという風に思います」
人間に二度と「原爆を味合わせてはならない」

7日の集会では、女優の斉藤とも子さんが原爆詩人・福田須磨子さんの詩を朗読しました。


女優・斉藤とも子さん:
(福田須磨子詩『原爆を作る人々に』)「もはやどこの国においても不幸より以外にもたらしはしない。原爆を味合わせてはならない」

核兵器が絶対悪であることを身をもって知る被爆者たちはこれからも訴え続けます。

被爆者 田中重光さん:
「本当にもどかしいですね。唯一の戦争被爆国という日本が、禁止条約に背を向け続けているし、核の被害がどういうものかってことを世界中の人たちは知ってほしい」

被爆者 横山照子さん:
「谷口すみてるさんが、本当に最期の力を振り絞って私たちに『禁止条約を実効あるものにしてほしい』という風に(メッセージ)を残していったんですね。
本当にそれを実効あるものにしていきたいという風に思います」

集会では、ロシアの戦術核配備に強い危機感を示し、日本政府に条約参加を求める集会アピールが採択されました。