ーーNetflixを通じて全世界に配信する上で、なにか制約はありましたか?

高橋智大 TBS・プラットフォームビジネス局DX戦略部長:
それぞれのお国事情、あとは宗教によっては「この表現が大丈夫なのか」みたいなことなど、最初から世界を意識してのドラマ作りという点がこれまでとは違うところでした。

磯山晶 「離婚しようよ」プロデューサー:
例えば、松坂桃李さんが演じる東海林大志という政治家は、おバカな状態からスタートして、ストーリーを追うごとに人として成長していくんですけど。どういうおバカぶりなのかをNetflix側に伝えるために、「こういう時に、こういうことを言っちゃう人」みたいな例えを箇条書きで羅列していたのですが、Netflix側はそれにすごく反応しました。

本当にいろんな人種の方が視聴するので、おバカな設定とはいえ、世界中の方が嫌な思いをしないよう気を付けてほしいと。台本作りの前の段階で言われましたね。

ーーNetflixらしい制約ですね。ストーリーを考える上でも海外の人を意識をしていたのですか?

磯山晶 「離婚しようよ」プロデューサー:
世界に配信するからといって、いかにも世界に受けそうな日本の姿というものは探していませんでした。よりリアルに描くために報道や選挙のエキスパートに監修を依頼しました。夫は三世議員で、 奥さんは女優で地元のドラマに出ていて人気、みたいな夫婦がいたらどうなるかな?っていうのを想像しながら作っていました

むしろ、脚本の内容が海外の人には全く伝わらないんじゃないかな?と思うようなシーンもあるんですけど…

例えば、松坂桃李さんが討論会で観衆の注目を引くために、ものすごい声をちっちゃく喋るシーンがあって。それは、前の晩に仲さん演じる奥さんが、声をちっちゃくすると、みんなが「おっ」って思うから小さく話せとアドバイスをするんですよね。その中で、奥さんが声の小ささの目安を説明する時に、「難破船を歌う前の中森明菜みたいに」と言うセリフがあって。

絶対伝わらないんじゃない?って脚本家の大石静さんは言ってたんですけど、脚本家の宮藤官九郎さんと私は「でも、日本でウケない前に海外でウケることばっか考えても駄目ですよね?」、みたいな感じで大石さんの心配は一度忘れて、そのシーンを撮りましたね。

ーー海外のドラマ・映画を見ていると、その国ならではの冗談なんだなって思うシーンありますよね

それはそれで、「もう声ちっちゃくするのね」ってことで海外の人も納得しちゃうから。逆に、日本人は笑って頂けたらいいなと。

STORY
夫は新人議員、妻は俳優。結婚5年目の東海林夫妻は、夫婦生活の危機を迎えていた。
仕事や世間体のためにおしどり夫婦を演じているが、家ではSNSの生配信の時しかほとんど会話が無く、顔も合わせることもない。実家からのプレッシャーやスポンサー契約など、離婚への道のりは険しいが、愛はもう冷めきってしまった。
離婚という揺るぎない目標に向かって、二人はともに歩み始めるが‥。
Netflixシリーズ「離婚しようよ」
[出演者]松坂桃李、仲里依紗、錦戸亮、板谷由夏、山本耕史、古田新太
[スタッフ]
 監督:金子文紀、福田亮介、坂上卓哉
 脚本:宮藤官九郎、大石静
 エグゼクティブ・プロデューサー:高橋信一(Netflix)
 プロデューサー:磯山晶、勝野逸未
 制作プロダクション:TBSスパークル
 製作著作:TBSテレビ

Netflixにて世界独占配信中!
作品視聴ページ:https://www.netflix.com/jp/title/81476361

(2023年6月25日放送 TBSレビュー〈特集〉Netflix配信「離婚しようよ」 より抜粋)