実際に武術太極拳の基本の動作である、片足をあげたまま屈伸をして、手を前に出す動作を杉谷さんがやってみると、バランスをうまくとりきれず大苦戦。一見軽い運動に見えるも、始まって8分で大量の汗が・・・。

(左)齋藤志保選手(右)杉谷拳士さん

杉谷:体験してみて体がボロボロなんですよ。

齋藤:日常生活を送るとか、かっこいい体を作るとかだったら、もう太極拳だけで十分なんじゃないかなって思います。

ディレクター:審査基準は?

齋藤:10点満点なんですけど、そのうちの5点がミスがあったかどうかという減点方式です。動作して(着地するときに)揺れたとか、足ついちゃったとか。いろいろ歩形があるんですけど、歩型が正しくないとか。一番大きい点数がそこになります。

杉谷:最初からやる演舞はもう登録したまま、そこからどんどん減点されていって、減点が少なければ上位という形になるんですね。

斎藤:そうですね、まず上位の選手は、ノーミスが基本というか、1個ミスをしてしまうと、本当にメダル圏外になってしまうので、まず一番大事にしてるのはそこになります。

杉谷:ミスは一切許されない?

齋藤:そうですね、すごく緊張します。

齋藤:あとは他の3点が表現だったり、太極拳のうまさ、流れがあったりとか。それこそ動作の協調性がよかったり、音楽と合っているかどうかというのが3点あります。あとの2点は難度の点数で、ジャンプして角度が足りているかとか、フィギュアスケートみたいな感じです。

杉谷:ABCってあった中で、5点、3点、2点。そのすべてがノーミスで初めて表彰台に登れるか登れないか?

齋藤:AとCがノーミスが基本で、Bが表現やうまさで、そこが最終的にノーミスの中で、そこで順位を決めていくっていう感じなので、うまさももちろん追求していかなければいけないところだと思っています。

ディレクター:打率9割以上は取らないといけない?

杉谷:打率9割じゃダメなんですよ、9割9分くらい取らなきゃいけないんですよ。だから毎回ここの舞台に立っているのは源田壮亮選手(30、西武)がいるもんだと。もうミスしちゃダメなんだと。守備率9割9分でスーパースター、金メダリストってことですから。ごめんなさい野球で例えてる自分が恥ずかしいんですけど(笑)

続いて、早さと力強さがポイントとなる剣を使った演舞を体験。

(左)杉谷拳士さん(右)荒谷友碩選手

杉谷さん:剣があることによってバランスが難しいです!

苦戦しながらも「よかったです」とメダリストからお墨付きをもらうと、会場から拍手がわいた。

杉谷:改めて皆さんの演舞を観させていただいたんですけど、初めて観る方たちがたくさんいると思うんですね。今の時点で太極拳の魅力ってすごい伝わってくるんですけど、改めてこういうところをもっと観て欲しいとかありますか?

荒谷:この武術太極拳の種目それぞれに入れなければいけない動作が決まっていて、どの選手も同じ動作が入っているんですけど、選手それぞれの体の使い方とか、その動作に対する理解みたいなのが違うので、ちょっとした部分が違う。特に太極拳だと音楽がついて、音楽もみんな違うので、その音楽との調和がすごく面白いところかなと思います。